民泊新法

住宅宿泊事業法の事前受付が開始!が、なかなか届出が進まない理由。

2018年3月15日より住宅宿泊事業法の届出に関して事前受付が開始されています。
私の事務所でもいろいろお問い合わせいただいておりますが、住宅宿泊事業者の届出に関してはなかなか進んでいない状況です。

なぜ住宅宿泊事業法の届出がなかなか進んでいない理由を解説したいと思います。

Contents

民泊新法の届出は意外とハードルが高かった

住宅宿泊事業法では、旅館業法の適用を受けずより簡単に宿泊事業を行えるようにするという目的で作られた法律です。

ただし、宿泊者の安全を確保することは重要なので、消防設備に関してはホテル・旅館といった本格的な営業施設と同様のものが求められます。

  • 自動火災報知設備の設置
  • 非常用照明器具の設置
  • 誘導灯の設置

こうした設備に設置には専門の資格を持った業者にリフォームをしてもらうことが必要であったり、消防署への届出も行わなければなりません。

また、3階以上の建物では耐火建築物であることが求められるなど、一般家庭が気軽に届出をして始められるようなものではなくなっています。

自治体によっては専門の建築士に建物をチェックしてもらうよう指導しているところもあります。

 

届出の必要書類の準備も大変

住宅宿泊事業法の届出に関しての必要書類もなかなか大変です。

まず一般の方で準備するのが大変なものは部屋の図面です。

部屋の図面に非常用照明の場所を書き込んだり、宿泊室の面積を計測して測って提出しなくてはなりません。
こうした図面の作成をできない人ほとんどなので、図面の添付を求めることが届出のハードルはかなり上げています。

添付書類の多さを見ても我々行政書士が専門的に行う許可申請の書類と大差ありません。

また、地域によっては消防法令適合通知書の添付を求められますので、消防法令の知識が必要になります。消防署では一般の方に一から教えていると負担になるので、きちんと対応してくれないところまであるそうです。

 

家主が同居をしていて、宿泊室が50㎡以下の場合のようなケースを除いて、一部の地域では住宅宿泊事業法を使っての民泊を始めるには旅館業の許可を取得するのと同じくらい大変になってしまう場合もあります。

安全上の理由ですので致し方無い部分もあるのですが、こうした理由で届出自体をあきらめてしまっているケースも多くあると思います。

 

住宅宿泊管理業者の登録が間に合わないかも

住宅宿泊事業法の届出が進んでいない理由の一つに、住宅宿泊管理業者の登録が進んでいないことがあげられます。

家主が不在の場合や5室以上住宅宿泊事業者として届出をする場合には国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者への管理の委託が必要になります。

賃貸住宅の空室、貸別荘、空き家などでは、この住宅宿泊管理業者への管理の委託が必要になるのですが、この登録自体の受付も2018年3月15日からとなっていて、事前受付の段階で管理の委託契約をできる業者がありません。

この住宅宿泊管理業者の登録自体には、休日を除いて90日が標準処理期間となっています。つまり登録の申請を事前受付の開始の3月15日に出しても、制度開始の6月15日に間に合わない可能性もあるのです。

事前の説明では、3月15日に事前受付で出してもらえれば6月15日に間に合うとの話でしたが、届出開始時には6月15日に間に合うか保証ができないという回答に変わってしまいました。

住宅宿泊事業法の届出の記載事項として、住宅宿泊事業者の登録番号が求められています。

この点で届出を行おうと思ってもできないという状況が発生しています。

 

旅館業法の改正も同時期にある

住宅宿泊事業法の届出が意外と大変なので、どうせなら旅館業の許可を取得してしまおうと考えている人もいます。

この旅館業許可に関する法律である旅館業法も6月15日に大改正が行われる予定となっています。

現在旅館業法の改正に関して各自治体の条例が追い付いていない状況で、住宅宿泊事業法の届出をすべきか旅館業許可を取得すべきか迷っている方も多いです。

もしかしたら旅館業許可の方を取得した方がいいかもしれないと考えて住宅宿泊事業法の届出を今していないという状況もあります。

 

制度開始時の混乱も予想される状況に

2018年6月15日の制度開始にどのような状況になるのかは不透明な状況です。
このままですと住宅宿泊仲介業者や住宅宿泊管理業者は制度開始時には一定の混乱が起こることを前提に対策が必要になります。

国側でも仲介業者や管理業者側の登録状況などを早めに整えておく必要がありますね。

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