民泊やゲストハウス用の物件選びは、物件数も少ないのでなくなかなか大変ですが、実はその建物の面積にも注意を払わねばなりません。
よく言われるのが、「建築物が100㎡を越えなければ用途変更が不要なので、確認申請の費用はかからない」ということですが、これは半分正解で、半分は不正解です。
実は、増築をする場合には、建築確認申請が必要となります。
また、構造設備についてもそのまま使えることはまれです。
今回は、民泊施設やゲストハウスの物件選びに深く関わってくる、建築基準法における用途変更について、解説したいと思います。
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建物には「用途」が定められている
建物には、すべて建築基準法に基づいて、何に使う建物なのかという「用途」が決められています。
例えば、我々が住んでいる家の用途は「居宅」ですし、お店などは「店舗」になっています。
また一棟の建物に2つ以上の用途があることもあります。
この用途を調べるには、法務局やインターネットで建物の登記簿を取得すると誰でもみることができます。
用途変更の確認申請が必要となるのは、建物の用途が変わる場合に、その用途ごとに定められている建物の構造設備を満たす必要があるからです。
古民家などの普通の建築物の「居宅」を取得して、ゲストハウスのような特殊な建築物の「旅館」として使用する場合に用途変更が必要となってくるのです。
100㎡以下の物件であれば、そのまま旅館として使えるわけではない。
まず、原則として100㎡以下の物件であれば用途変更の確認申請は必要ありません。
ただし、ゲストハウスとして利用するために増築をする場合は、その用途を旅館として建築確認申請を行わなければなりません。
また保健所でも、一般住宅をゲストハウスとして使用する場合は、旅館建物としての構造設備を備えるように指導されるので、古民家をそのままゲストハウスとしてそのまま使用できるということは、ほぼないでしょう。
また、用途変更の確認申請が不要であっても、建築基準法に適合する建物である必要があります。
用途変更が不要だからといって100㎡以下の物件を選んでも、賃貸で借りて改装が不可能な場合はゲストハウスの運営ができないので気を付けてください。
逆にもとから用途が「旅館」ならば、100㎡を超える場合であっても、用途変更は必要ありません。
用途が同じなので当然ですね。
大きい物件でゲストハウスを開業したい方は、廃業した旅館やペンション、民宿などを探してみるのも一つの手ではあります。
このあたりの知識がない方は建築士の方に相談をして下さい。
不動産会社の方は建築に関しては専門ではありませんので、物件を借りる際、用途変更が必要か聞いても間違った回答である危険性があります。
やはり餅は餅屋ということで不安になったら建築士の方に相談しましょう。
100㎡を越えている場合でも、使用部分を減らせば用途変更の確認申請は避けられる!?
建物の面積が100㎡を超えている場合でも、宿泊するゲストが使わない面積は含めなくていいので、自分たちの住居部分を増やして、ゲストハウスの面積を100㎡以下にするという方法があります。
これについては、法的な話よりも、行政の運用での話になります。
建築課の担当者レベルで、認めてくれたり、認められなかったりというのが現状ではないでしょうか。
少なくとも、この方法はどこの自治体でも使える方法ではありません。
住居部分もゲストハウス運営に必要な部分とみなされれば、その部分の面積はゲストハウス部分の面積に含まれてしまいます。
この方法を使う場合には担当する役所の建築課にあらかじめ確認をとっておく必要がありますのでご注意下さい。
まとめ
「100㎡以下は用途変更が不要」という言葉が一人歩きしてしまい誤解を生じやすい部分です。旅館業の許可を取る場合には用途変更は必要です。確認申請が必要なのかどうかというところにかかってくる部分です。
用途変更についても単純な規定ではありませんので、物件探しの際には学習が必要なところです。
物件探しなどは、失敗すると大変ですので、詳しい方にアドバイスをもらったり、専門家に意見を聞くなど慎重な姿勢が必要です。