マンションの一室で無断で民泊営業されて困っている管理組合や住民の方は多いです。
そんな方達にとっては今回の民泊差し止めの「仮処分」は一つの有効な方法となります。
今回は大阪地裁での民泊についての仮処分についてをご紹介したいと思います。
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マンションでの民泊が差し止められた
大阪のマンション管理組合がマンションの部屋の所有者に対して民泊をやめるよう大阪地裁に申し立てを行ったことにより、民泊差し止めの仮処分の決定が出されました。
大阪市内にある100戸超の分譲マンションで、昨年3月頃から、特定の2部屋に出入りする外国人が急増し、管理組合が民泊を行っている可能性が高いと判断。所有者から明確な説明はなかったが昨年11月に仮処分を申し立てを行ったというのが今回の経緯です。
仮処分とは?
仮処分とは裁判所が決定する仮の判断です。
例えば、XさんがYさんを建物から追い出したいのでYさんを訴えたとしましょう。裁判でXさんが勝って「YさんはXさんに建物を明渡しなさい」との判決がでたとします。この判決があれば通常Xさんは裁判所や執行官という人に頼めば強制的にYさんを追い出すことができます。
しかし、裁判中にYさんがZさんに建物を渡してしまった場合、「YさんはXさんに建物を明渡しなさい」との判決が出ても住んでいるのはZさんなので追い出すことが出来ません。Xさんの裁判は全部無駄になり、判決はただの紙切れになってしまうのです。
こうしたことを防ぐために「仮処分」という手続きがあります。
裁判をする前に「Yさんが誰かに建物を渡すのを禁止する」という決定をあらかじめ裁判所にだしてもらうことで、Yさんが誰かに建物を渡してもその効果を否定することができます。
簡単にいうと「仮処分」とは裁判所から「訴えた人の権利を守る必要があるから~するな」というお達しです。
最近では、原発の運転差止めが有名ですね。
今回のマンション民泊差止め請求に関しては、「仮処分」の中でも「仮の地位を定める仮処分」の類型に該当します。
仮処分で無断民泊差止めを行うメリット・デメリット
差止めの仮処分のメリットは、簡易・迅速な手続きで、本案とほとんど同じ内容を実現することができることにあります。
マンションで素早く無断民泊に対策するにはいい方法であるといえます。
ただし、仮処分もいい面ばかりではなく、申立てるのにほとんどのケースで担保としての保証金が必要になります。
民泊を差し止めるために高額な保証金が必要になるかもしれません。
また、申し立てれば必ず差し止めてくれるというわけではなく、複雑な論点が予想される場合には、仮処分の迅速性の要件に適さないとして、取り下げが勧告されることも少なくありません。
今回の件ではマンションの管理規約に「専ら住居として利用する」との条項や、外国人が頻繁に出入りをして住民が不安に思っているなど色々証明をおこなったことでしょう。著しい損害又は急迫の危険を避ける必要があると判断されそうな場合には、民泊差し止めの仮処分を利用してみるのがいいでしょう。
まとめ
今回の大阪地裁の差止めの判断をもとに無断の民泊への対策を立てることができると思います。
もし、無断民泊で困っていて民泊差し止めの仮処分の申立てを行いたいという方は、弁護士が専門家なのでそちらに相談に行かれるといいでしょう。また弁護士は金銭的にも敷居が高いと思う方は司法書士に書類作成だけを頼むこともできるので検討してみて下さい。