最近では民泊を許可をとって合法的に行おうという動きが高まってきました。これには京都、大阪、東京で摘発があったことと、全国各地の保健所が指導に乗り出してきていることが大きいと思います。都内、神奈川県内の保健所は指導にのりだしていくという情報も私の事務所に入ってきていますね。
そこで、いままで無許可でやっていたが、改めて合法的に民泊をやっていきたい方や自分で旅館業許可を取得したい方のためにおすすめな書籍を2つご紹介しようと思います。
Contents
合法的に民泊を行うために必要な本は2つで足りる
私がおすすめするのは「旅館業のてびき」と「[用途別]建築法規エンサイクロペディア」です。
旅館業のてびき
「旅館業のてびき」は一般に売っている書籍ではなく旅館業許可を扱う保健所等の役所が発行する本です。役所によってはダウンロードできるところもありますね。
旅館業の考え方、必要な部屋の面積、トイレの数、洗面所等の細かい規定から許可の申請手順が詳しく書かれています。
たいていの場合は無料で手に入るので物件の所在地を管轄する保健所に問い合わせてみてください。ただし保健所によっては「旅館業のてびき」を準備していないところもあります。
そういった時は以下の参考記事を参考にしてみてください。
参考記事: 今後Airbnbに絶対必要!「簡易宿所」許可の取り方
[用途別]建築法規エンサイクロペディア
「[用途別]建築法規エンサイクロペディア」は株式会社エクスナレッジから出版されている本で大きめの書店にいけば置いてあると思います。こちらは建物の用途別に建築基準法、消防法令が図表を用いてわかりやすくまとまっていて、ホテル・旅館・簡易宿所についても詳しく書いてあります。
読み物といったよりも辞書的に使う本ですね。
こちらは「旅館業のてびき」にはあまり詳しく書いていない建築、消防関連について載っていますので、2つの本をあわせてみると必要な設備や構造が分かるようになります。
書籍内のホテル・旅館のページを見ると用途地域から政府登録ホテルの申請、バリアフリー条例、まちづくり条例、風営法の規制などかなり細かい点の記述が書かれています。
書籍の後半には「基本建築法規ファイル」がついていて、基本用語の説明や建築確認申請の概要、実際の消防設備の図、建物にどこに消防設備をつけるかなどが書かれていて非常に役にたちます。
こちらの本は同業の専門家の方にもおすすめできますね。
合法的に民泊を行う方法
2016年8月現在合法的に民泊を行うためには旅館業法上の許可を取得して運営するか特区民泊の制度を活用するしかありません。
いままでグレーゾーンと言われ続けてきた民泊ですがAirbnbを利用して行われている営業は旅館業法違反であることは明らかでした。これまで実体が把握されておらず取り締まりが行われてこなかったので、民泊はグレーゾーンだという誤解が生まれてしまったようです。
厚生労働省のQ&Aでも以下のような回答をしています。
Q4 個人が自宅の一部を利用して人を宿泊させる場合は、旅館業法上の許可が必要ですか。
A4 個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合(民泊サービス)であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合には、旅館業法上の許可が必要です。
2015年に爆発的に民泊用の登録物件数が増えました。近隣トラブル等の問題によって民泊の実態が表面化し、無許可の民泊施設の対する規制をはじめているのが現状です。
特区民泊は「6泊7日以上の滞在」、「国家戦略特区内で条例が定められた時のみ」に可能となるので現在はあまり利用されていません。より使いやすくなるよう改正の動きもあるようなので今後に注目です。
特区民泊についてはほとんど使えない制度です。したがって、現在合法的に民泊を行うためには旅館業法上の許可を取得するという選択肢しかない状況です。
旅館業の許可を取得するのに必要な情報は2つの本で十分
民泊を合法的にするには旅館業法上の簡易宿所営業の許可を取ることが一般的です。簡易宿所営業の許可を取得するために必要なのが、旅館業法、建築基準法、都市計画法、消防法の知識であり、それぞれがかなりのボリュームのある領域ななので全てを学ぼうとするには無理があります。
役所にどうすれば許可が取れるか聞いてみても一から教えてくれるわけではありませんし、保健所、建築課、消防と複数の役所に管轄がまたがっているため他のところで聞いてくださいと言われるのがオチです。
そこで本記事で紹介した書籍が役立ちます。本当に2つだけで旅館業許可申請に関しての法令の知識は身に付くと思います。
民泊では不動産を扱うので知識がないまま始めようとすると取り返しのつかない失敗をしてしまう可能性があります。ぜひ2つの本で知識をつけて、合法的に民泊を運営していってもらいたいと思います。
それでも分からないことがあれば私も力になりますので
よりご相談ください。
※2016年11月1日追記
政令の改正により2016年10月31日から特区民泊が「2泊3日以上」の滞在から宿泊させることが可能になりました。この改正により簡易宿所営業許可の他にも外国人滞在施設経営事業の認定を受けることも合法的にAirbnbを行うために有力な方法となっています。
そうした場合には「旅館業のてびき」ではなく、役所が発行している申請手続きについての資料を参照してみてください。
以下に現在資料が手に入るページを貼っておきます。