特区民泊

特区民泊(外国人滞在施設経営事業)を始めるための9つのステップ

http://www.airbnb.comより引用

政府が国家戦略特区内での民泊について、宿泊最低日数を6泊7日から2泊3日に短縮する方針を示しました。これにより今までほとんど使えない制度であった「特区民泊」が非常に使いやすい制度へと変わります。

特区内で民泊を始めるためのステップについて解説したいと思います。

ただし、ここで書くのは原則的なものです。
細かい規定については自治体ごとに異なりますので必ず担当機関へお問い合わせ下さい。

 

Contents

1.実施できる地域かを確認する

国家戦略特区に指定されているかを確認

特区民泊を始める際にはまずそこが国家戦略特区に指定されていて、特区民泊に関連する条例が制定されている必要があります。民泊を始める地域で外国人滞在施設経営事業についての条例が制定されているか確認しましょう。

ちなみに現在特区民泊ができる地域(又は導入予定の地域)は以下の地域です。

  • 東京都大田区
  • 大阪府(豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、東大阪市、松原市、堺市以外の地域)
  • 北九州市(2017年に開始予定)

他にも神奈川県は黒岩知事が民泊特区活用に前向きな姿勢を示しているので神奈川県も候補となってくるかもしれません。

 

用途地域が営業可能な地域であることを確認

都市部では都市計画法上「用途地域」が定められています。用途地域によって建物の建築に制限が加えられています。

基本的に特区民泊での営業は建築基準法上、旅館・ホテルを建築できる地域に限られて認められています。

旅館・ホテルを営業できる用途地域は

  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域

です。

上記のような地域であれば始めることができます。

用途地域を調べる方法は以下の記事を参考にしてください。

参考記事:【民泊物件探し】知らないと大変なことに!用途地域の調べ方。

 

大阪府の一部の地域や北九州市ではその他の地域でも認められることがあるので確認が必要です。

 

2.物件の面積について確認する

客室の面積が壁芯で25㎡以上は必要

特区民泊は旅館業法の適用が除外されますが、居室の床面積に条件はあります。

居室が壁芯で25㎡以上あること

を確認して下さい。

「壁芯」とは壁の中心を基準として面積を測る方法で建築図面などに壁芯の面積は記載されていると思います。

この面積には、風呂、トイレ、台所、クローゼットを含みますが、ベランダは含まないので注意が必要です。

 

3.保健所へ事前相談に行く

特区民泊を担当するのは、各自治体の保健所です。保健所がない市区町村の場合は生活衛生を担当する役場が相談先となります。

申請の流れやどのような設備が必要か、他に事前相談をすべき役所について指導をしてもらえます。消防設備に関して消防署、建築物に関して建築課、固定資産税に関して税務署に相談にいくように言われることが多いです。

 

4.消防署へ相談へ行く

特区民泊では消防設備を整える必要がある

特区民泊の施設は消防法令上は旅館・ホテルと同じカテゴリーの建物として扱われます。
そのため以下のような設備が必要になります。

  • 自動火災報知設備
  • 誘導灯
  • 消火器(床面積150㎡以上)

概要は以下の図を見て頂きたいと思います。

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5.部屋の設備を整える

居室に必要な設備

  • 出入り口及び窓に鍵
  • 暖房及び冷房
  • 洋式の便所
  • 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理器具、清掃器具

通常の家庭であれば当然あるもので十分ですが、鍵や洋式便所がない場合には準備が必要となります。部屋が少し狭ければ2段ベッドを導入することを検討してもいいと思います。

 

緊急時のマニュアルを作成する

災害や急病、事故等の緊急時に、避難や救急医療等に関する情報に関してマニュアルや外国語の案内を準備しましょう。

 

6.周辺住民への計画の周知

近隣住民への通知は書面でポスティング

特区民泊では周辺住民へ計画を周知させることを求められるケースが多いです。計画の周知といっても説明会などを求められるわけではなく、書面でポストへ投函するポスティングで十分です。

周辺住民は大体半径20メートルぐらいの範囲の建物の住人とされていることが多いです。地域によって範囲が異なる可能性があるので確認が必要です。

近隣住民へは以下の事項を書面で周知します。

  • 営業者の氏名
  • 施設の名称及び所在地
  • 近隣住民からの苦情等の窓口の連絡先(担当者、所在地及び電話番号)
  • 廃棄物の処理方法
  • 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法

 

7.認定申請を提出

特区民泊の施設の認定を受けるために保健所へ申請書を提出します。
申請書を書くとともに必要な添付書類を収集、作成します。

必要な添付書類

一般的に必要な添付書類は以下のものになります。これも自治体によって異なる可能性があるので申請の際には確認が必要です。

  • 住民票(個人の場合)
  • 定款または寄付行為及び登記事項証明書(法人の場合)
  • 外国人旅行者と結ぶ賃貸借契約書(外国語表記とその日本語訳)
  • 構造、設備の図面
  • 滞在者名簿の様式
  • 不動産登記事項証明書または施設の賃貸借契約書+転貸の承諾書
  • 近隣住民へ周知した書面および周知、説明、近隣住民の理解をどのように得たかを記載した書面
  • 消防法令で定める手続きを行ったことが確認できる書類

 

8.施設への実地検査

申請書が問題なく受理されてしばらくすると保健所職員による施設の検査があります。各部屋の計測、設備の確認などを行います。ここで修正が必要な場合には素直に従いましょう。

 

9.認定書の受領&事業開始

保健所から認定証が交付されますと特区民泊での運営が可能となります。6泊7日(又は2泊3日)の宿泊日数に気を付けて営業を行ってください。

認定を受けると保健所のホームページにも掲載されます。

 

 

まとめ

以上が特区民泊の認定を受ける際の流れになります。
旅館業許可に比べて構造・設備面で要件がかなり緩和されているので多くの施設で営業が可能になると思います。

今後特区を活用した民泊を各自治体が進めると多くの認定施設が誕生することになりますね。

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