民泊ビジネスを始めるために、旅館業法の「簡易宿所営業」の許可取得を検討される方が増えています。
旅館業許可については保健所や保健福祉センターへ相談へ行くことが必須なのですが、前提知識として役所がどのような基準で許可・不許可を判断するのか知っておくのは大切です。
役所では法令以外にも判断基準として国からの指導要領というものがあります。
今回は旅館業における国からの指導要領である、衛生等管理要領について解説したいと思います。
旅館業における衛生等管理要領とは
「旅館業における衛生等管理要領」(以下「衛生管理要領」といいます。)とは、旅館業に関する衛生の向上及び確保を目的とする国からの指導です。
衛生管理要領では構造・設備基準が旅館業法よりも細かく定められています。旅館業法関係の法令が大まかな基準を定めていて、衛生管理要領を参考に各自治体において独自の判断基準で許可・不許可を判断していきます。
平成28年の簡易宿所営業のフロント設置の規制緩和については、法令ではなくこの衛生管理要領が改正されておこなわれました。
衛生管理要領はかなり細かい
衛生管理要領は構造・設備についてかなり細かく定められています。
平成28年改正前の衛生管理要領は以下の様になっています。改正点も併せてご覧ください。
旅館業の許可で問題になるフロントの設置基準に関しても、
- 玄関から容易に見える場所に設置していること
- 受付台の長さが1.8m以上
- 適当な距離に鍵を保管する設備があること
- フロントから1.6m以内に植木、カーテン等を置かない
- 従業者が常時待機し、来客の都度対応すること
などが定められています。
フロント設置基準について簡易宿所では「設置することが望ましい」と変更されましたが、市区町村独自の判断でフロント設置を義務付けているところもあります。
その他にもロビー、廊下、客室、浴室、入浴設備、脱衣場、マッサージ室、洗面所、便所、調理室、食堂、土産品専用売場、洗濯室、プール、給水設備、廃棄物処理、ガス設備、採光・照明設備、換気関係、暖房設備、自動販売機、寝具等について細かい基準が定められています。
ただし細かい基準全てを満たさなければ許可を取得することが出来ないわけではなく、定められているものについて全てをチェックするわけでもありません。
主にチェックの中心はフロント、客室、水回り、採光、人の動線などだと思います。
旅館業取得の前に一度目を通しておこう
リフォーム会社や建築士では旅館業の許可に関してあまり詳しくありません。設計段階でアドバイスをもらえることは難しいでしょう。
旅館業許可を取得の際には物件の選定段階から専門の行政書士に相談するか、自分できちんと法令や衛生管理要領を読み込んで判断していって下さい。
役所に対してどうすればいいですかと質問しても答えてくれないところが多いです。
役所がどのような判断基準に基づいて判断するかを理解して、こちらから構造・設備について提案できるようになっておくことが必要です。