旅館業許可が不要で住宅の空き部屋を旅行者に貸し出すことだできる「特区民泊」をいち早く投入した東京都大田区ですが、2018年3月15日から最低宿泊日数が2泊3日に緩和されることになります。
今までは最低6泊7日以上の旅行客しか宿泊させることができませんでした。
これが2泊3日まで短縮されたことは大きいですね。金・土・日の週末3日間利用する日本人や、東京で3日、大阪で3日など短期間で移動する外国人需要も取り込めることになります。
2018年6月からは同時に民泊新法を使った制度も始まります。
特区民泊と民泊新法について比較をしながらどちらがおすすめのなのか書いてみたいと思います。
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特区民泊と民泊新法の違い
特区民泊と民泊新法の違いは、ずばり「宿泊日数の制限」の仕方です。
どちらも旅館業許可が不要なかわりに制限付きで宿泊営業を認めている制度です。
特区民泊 - 一日単位で泊められない
民泊新法 - 年間180日以上は泊められない
これが収益不動産の場合ですと大きな問題となってきます。
基本的に収益不動産や事業で行う場合は営業日数に制限のない簡易宿所営業の許可の取得が最善です。
ただし、簡易宿所営業に関して東京23区内は規制が多く、民泊としてほとんど不要な設備まで設置が義務付けられてしまいます。
ですので、初期投資は低くしたい場合には特区民泊又は民泊新法での運営が選択肢となります。
上記2つの方法で収益不動産として運営を考えるならば圧倒的に特区民泊がおすすめです。
以下に理由を書いていきたいと思います。
民泊新法での営業日数の上限は収益的にかなりツライ
民泊新法での営業日数の上限は180日ですので、客室稼働率としては最高でも50%以下になります。
通常のホテルや旅館の営業では間違いなく赤字になる数字です。
東京のような物件の価格や賃料が高く、競争の激しい地域では年間を通して100%稼働できる簡易宿所営業許可を取得した施設に間違いなく価格競争で勝てません。
唯一収益化する方法があるとすれば1泊辺りの収益率をあげるための高級路線の差別化です。しかし、そもそも施設にお金をかけるならば簡易宿所営業の許可を費用をかけて取ればいいのです。
民泊新法には、住居専用地域でも宿泊事業を行うことができるというメリットがありますが、大田区の場合は条例で住居専用地域では新法の民泊を制限する予定です。
場所の差別化戦略も使えませんので、大田区において収益不動産で民泊新法を使った運営はかなりの工夫が必要になってきます。
2泊3日の宿泊需要はかなり多い
あなたが海外旅行に行くことを想像してみてください。
1泊2日で行きますか?
そうなんです。2泊3日というのは外国人旅行者の需要は圧倒的に多いんです。
観光庁の統計による平成28年度訪日外国人消費動向調査のデータによると
外国人観光客の滞在日数の割合は
3日間以内 | 4~6日間 | 7~13日間 | 14~20日間 | 21~27日間 | 28~90日間 |
8.7% | 53.6% | 30.6% | 5.2% | 1.1% | 0.7% |
となっています。
長期滞在者の中には、東京で5日間、大阪で5日間などの旅行者も多いので、今までの最低宿泊日数が6泊7日というのは海外旅行者の需要は十分にカバーすることができませんでした。
2泊3日以上の場合には、90%以上の外国人旅行者の需要をカバーできますので、外国人旅行者向けに宿泊施設を運営するのであれば旅館業許可と同等の運営をすることができます。
この点では、特区民泊を選択するメリットは大きいです。
施設管理の手間は特区民泊の方がしやすい
施設管理に関しても特区民泊の方が楽になる予定です。
民泊新法に関しては、2ヵ月に一度役所に対して宿泊者の報告をしなくてはいけません。営業日数の上限を管理するためですね。2ヵ月に1回は少し負担が大きいですね。
また、大田区は特区民泊の施設に対して銭湯手ぶらセットの引換券や銭湯多言語マップを配ってくれるなど支援が厚いです。
ただし、平成29年7月から大田区では特区民泊の認定を受ける際に周辺住民への周知の手続が審査基準になりましたので、始める際には特区民泊の方がひと手間かかります。
大田区においては特区民泊がおすすめです。
以上のようなことを考えると、大田区においては特区民泊を使う方が賢い選択であるといえます。
2泊3日に解禁される時期も民泊新法より3ヶ月ほど早いので、これから始めてみたいという方は特区民泊の手続について調べて検討してみてください。
特区民泊の具体的な手続については以下の記事をご覧ください。