一般の戸建住宅をリフォームしてゲストハウスや民泊施設として開業を考えている方は多いと思います。
よくゲストハウスでは用途変更が不要なので100㎡以下の物件がいいとされていますが、それ以外にも建築基準法上注意すべき点があります。
戸建住宅をホテル・旅館等にする場合「3階建以上」か「200㎡以上」ですと多くの建築基準法の規定にひっかかることになります。このような物件を選ぶ時には注意が必要です。
今回は具体的にこういった建築物が建築基準法上どのような規定にひっかかるのかを解説したいと思います。
Contents
「3階建以上」又は「200㎡以上」で必要となる構造・設備
界壁・間仕切壁
界壁(かいへき)・間仕切壁(まじきりかべ)とは、屋内空間を分けている壁のことです。
これを準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達するようにしなければなりません。
準耐火構造とは建物の火災が起こった場合、建物が45分又は1時間崩壊せずに建ち続ける構造で、普通の木造よりも火災に強くなければならない上、仕切っている壁が屋根まで達していなければなりません。
もしこの構造でない場合大規模なリフォーム工事が必要になります。
ただし、スプリンクラーや住宅用防災警報器を設置すれば基準が緩和されることがあります。
耐火建築物等要求
「3階建」以上又は2階の部分の床面積の合計が300㎡以上の場合には、建物を耐火建築物等にしなければなりません。
※建築基準法の改正がありこの部分の取り扱いが変更になる可能性があります。
建築に関する規定は複雑ですので必ず現在の法令をご確認ください。
廊下の幅
客室の床面積の合計が200㎡を越える際には、中廊下では1.6m以上、片廊下1.2m以上が必要となります。
居室から直通階段までの距離
主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合は50メートル以下、その他の場合は30メートル以下が求めらます。
2以上の直通階段
主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、宿泊室の床面積の合計が2000㎡超の階、その他の場合は宿泊室の床面積の合計が100㎡超の階には、2以上の直通階段が必要です。
避難階段の設置
5階以上の階には避難階段の設置が必要です。
排煙設備の設置
延べ面積500㎡超で排煙設備を設置しなければなりません。排煙設備に関しては建築基準法上の設置基準と消防法上の設置基準が異なるので注意が必要です。もちろん両方満たしておかなければなりません。
非常用照明装置
居室と避難経路に非常用照明装置の設置が必要です。
ただし、屋外への出口へ至る歩行距離が30メートル以下の場合はこれらの装置を設置する必要がありません。
内装の制限
耐火建築物の場合は3回以上の床面積が300㎡以上、準耐火建築物の場合は2階の床面積が300㎡以上、その他場合は床面積が200㎡以上で、居室及び避難経路の内装仕上げを難燃材料当とする必要があります。
屋内階段の寸法
直上階の居室の床面積の合計が200㎡を越える場合等は、階段の幅120cm以上、けあげ20cm以下、踏面24cm以上が必要となってきます。
大きな戸建住宅をゲストハウス・民泊施設に利用するには「材質」と「壁」に注意
古民家等の古い木造建築物の場合は耐火建築物の要件を見たしていないことが多いです。
また一般的に壁のリフォームには多額の費用がかかります。
リフォーム費用に数千万円用意しても、建築基準法上の規定を満たさず確認申請できないときもあります。古い物件を選ぶ際には必ず専門家に相談してください。