民泊と法律

一日単位の賃貸借契約は可能なのか?

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Airbnbの物件の貸し出しは旅館業法の適用があるとの見解が取られていますが、通常物件を貸し出す賃貸借契約には当然旅館業の許可などは不要です。

では一日単位での賃貸借という見解をとれば旅館業法の適用を免れるのでしょうか?

 

Contents

定期借家契約とは

旅館業法と関連するものとして、借地借家法に規定する定期借家契約をいうものがあります。

定期借家契約とは、契約の期間が満了することにより更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する建物賃貸借契約です。

通常の建物賃貸借契約は1年未満の建物賃貸借は、期間の定めのないものとみなされますが、定期借家契約の場合、1年未満の期間を定めることも可能です。

つまり期間を一日として、一日で終わる建物の賃貸ができる可能性があるのです

ただし、定期借家契約の本来の目的は

 

  • 貸主が建物を貸すと契約が自動更新されてしまう
  • 契約を解除するためには貸主に正当な事由が必要とされる

といった借地借家法の規定であまりにも強くなりすぎた借主保護の規定を修正するものであり、一日単位での貸し出しというのは当然想定していません。

もともと借地借家法の規定に「一時仕様のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には適用しない」(借地借家法第40条)といったものがあるので問題になることがないからです。

ただ、ウィークリーマンションや民泊のような新しいビジネスが登場してきて、旅館業法の適用を受けずに部屋の貸し出しをしたい人が定期借家契約を利用し始めたところから旅館業なのか不動産賃貸なのかといった問題がでてくることになりました。

 

旅館業と不動産賃貸の違い

旅館業法の許可が必要か否かを判断基準には次の4つがあります。

  1. 宿泊料を受けていること
  2. 寝具を使用して施設を利用すること
  3. 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること。
  4. 宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであること

1,2は旅館業法で定められていて、3、4は厚生省生活衛生局指導課長通知で判断されています。

つまり生活の本拠がその施設にあるかどうかで旅館業と不動産賃貸は区別されています。

例えば一日の定期借家契約を結んだからといっても生活の本拠がそこにあると判断されなければ、旅館業法の適用は免れません。

以前はウィークリーマンションでもこうした議論があり、契約書上では利用期間中の清掃管理は利用者が行うこととのあった施設でも旅館業法の対象となる施設であるかという質問が厚労省にされました。

厚労省からの回答は

近年、いわゆるウィークリーマンションをはじめとして、新しい形態の旅館業類似営業がみられるが、これらが旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」に該当するか否かは、公衆衛生その他旅館業法の目的に照らし、総合的に判断すべきものであることはいうまでもない。

とあり、施設の維持管理責任を契約書で利用者が行うと定めても、実体的に管理者が営業者であるので旅館業法の適用があると判断されました。

実際に、ウィークリーマンション等は旅館業の許可を得て営業しています。

 

定期借家契約で民泊ビジネスをする可能性

以前は民泊施設や貸別荘などで旅館業法の適用を逃れるために定期借家契約を結んでいるケースが多くありました。

しかし、旅館業法の適用要件である「生活の本拠がない」という点でみると営業の許可を得ずに民泊施設が定期借家契約を結んで部屋を貸し出すのは旅館業法違反ということになってしまいます。

政府の公式見解でも民泊には簡易宿所営業の許可が必要ということになっていますので、定期借家契約で民泊ビジネスを行うのは極めて危険です。

現在、定期借家契約で運営している民泊施設、ゲストハウスなども早めに簡易宿所営業の許可を取らなければならないといえるでしょう。

まとめ

結論としては、民泊施設においては一日単位での定期借家契約というのは事実上できないということになります。

民泊施設は公衆衛生上の観点や施設の実質的な管理者を見る限り明らかに旅館業法の適用を受けることになります。

やはり常識的な判断では不動産賃貸にするためには最低1カ月以上の契約が必要となりますね。

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