一般住宅の空き部屋を有料で貸し出す「民泊」の増加を受けて、京都市は近隣住民とのトラブル対策として、苦情、相談を電話やメールで一元的に受ける「民泊通報・相談窓口」の設置を決定しました。
民泊に対する窓口を一元化することで市民が通報しやすくなる上、個別に受けていた相談を保健所や消防が情報共有することで素早い対応が可能になるとのことです。
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意外にもマンションより戸建て住宅の方がクレーム対象になりやすい
昨年12月から今年3月にかけて行われた京都市民泊施設実態調査において、旅館業法の許可施設数が2702件中189件とわずか7.0%であったことを考えると相談・通報はかなりの件数になるでしょう。
上記の調査においては施設周辺住民へのヒアリングが行われ以下のような傾向がみられます。
戸建て住宅における苦傾向
- 集合住宅の施設と比較して、多くの人数が宿泊可能なため騒音につながりやすい
- 特に連棟になっている場合や路地奥にある施設における騒音は深刻であり、宿泊者のいびきで眠れないというケースもある
- 路地奥での施設については火災が不安
- 運営者からの説明や問い合わせ先の開示を受けていない場合は、トラブル時に苦情を伝えることができない
集合住宅における傾向
- 不特定多数の観光客が宿泊することで、オートロックの意味がなくなっているので不安
- ごみや騒音などの具体的な迷惑行為があるという声は多くなかった
- 1つの集合住宅で多数の民泊施設が運営されている物件においては、ごみ問題、騒音、深夜にインターホンを間違って鳴らされたなどの具体的な迷惑を被っているという声もあり、物件からの退去を考えている住民もいる
- 単身世帯用の物件であれば、住人が民泊施設に気づいていないケースも多い。大型の単身世帯用物件になればその傾向はさらに強まる
- 集合住宅の住人が苦情を訴えても、対応しない不動産管理会社もある
調査の中では意外にもマンションでの苦情は多くありませんでした。原因としては泊まる人数が少なく騒音が発生しずらいこと、もともと防音性能が木造の戸建て住宅に比べ高かったこと、ゴミなどの管理も旅行者のマナーがよかったこと等が考えられます。
しかし、マンションで簡易宿所営業の許可を取らずに営業している場合にはすぐに報告→行政からの指導という流れになります。マンションなどの集合住宅での許可をどうするか民泊制度として少し深い議論が必要かと思います。
まとめ
京都市に専用の相談窓口が設置されたことにより市内の違法な民泊施設はどんどん排除されていくことになるでしょう。
ただし今後の民泊新法制定によってその施設が違法な営業をしているのかが極めて分かりづらくなります。京都市側でも新たな対応策を練らない限り違法民泊の排除は難しいのではないでしょうか。