旅館業法には無許可で旅館業をおこなった場合には、六月以下の懲役または三万円以下の罰金に処するとあります。
最近ではこの罰金について引き上げも検討されていますが、現在罰金の最高額は3万円です。
これを理由に無許可で民泊をおこなっているケースも想定できますが、3万円だけで済むかというとそうではありません。
今回は無許可の民泊におけるリスクを紹介したいと思います。
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無断転貸は損害賠償の対象
マンションなどの集合住宅で行っている民泊では、旅館業の許可を取っていないばかりか貸主の許可を得ないで行っているケースが多いです。
私の事務所にもよく無断で民泊に使われてしまっているというご相談が来ます。
部屋を借りて、それを別の人に貸すことを「転貸(てんたい)」といいます。 いわゆるまた貸しですね。
賃貸物件における民泊というのは、この転貸に当たります。
通常転貸を行う場合には貸主の承諾が必要で、貸主に無断で貸し出すと契約を解除されて追い出されてしまいます。
法律に中途半端に詳しい素人は損害賠償をおそれず居座ったり、それを根拠に無許可で平気で行います。ただ生半可な知識で行っているため本当のリスクが分かっていないんですね。
本当に恐ろしいのは無断転貸の解除に伴う損害賠償ではないんです。
中国人観光客の事故死
以前に中国人観光客の子供がAirbnb物件に泊まって事故死した事件がありました。
ここは無許可でおこなっていた物件でした。
物件で死亡事故があると物件の資産価値は著しく下がります。
死亡事故が起こった物件というのは誰も通常の値段では買ってくれないです。
その時に無断転貸を行っていた場合は、物件の資産価値が下がった分の損害賠償を受けることになります。
この部屋を無断で貸し出していたホストは自己破産を強いられました。
他人に無断で貸して一回でも事故が起こると人生が終わってしまうことも考えられるのです。
大家さんや不動産会社側でもきちんと対策すべき
一度部屋を貸し出すと例え無断で貸し出していようと、法的な手段を使って追い出すのはかなり大変です。
費用も何十万とかかり期間も半年から1年かかる場合もあります。
そうならないためにもきちんと契約書の中に予防的措置をいれておくべきです。
最近ではマンションの管理規約で「民泊・シェアハウス禁止」の条項をいれたりしていますが、甘いです。
規約や契約書の条項というのはルールを定めるだけでなくきちんとルールが機能するようにしておかなければなりません。
無断転貸禁止や禁止条項をいれるときはきちんと違約金の定め等ルールを機能させる仕組みをつくっておきましょう。
時代が変わっているのにいつまでもテンプレートの賃貸借契約書を使っている方は気を付けて下さい。
無断転貸のリスクは無限
無断で物件を貸し出すことのリスクの一部を紹介しましたが、リスクはまだまだあります。
少しのお金のために人生が台無しにならないよう、無断での転貸は絶対にやめましょう。