現在民泊ビジネスを合法的に行うためには旅館業の許可を得ることが必要です。
しかし、旅館業法では細かい基準は示されず、政令や条例によって各自治体ごとに許可基準が決められています。
例として、具体的にどのように定められているのか当事務所のある神奈川県藤沢市の条例について見ていこうと思います。
衛生措置の基準 ~旅館業法第4条第2項~
旅館業法では衛生基準は各自治体が定めることになっています。
藤沢市の条例で簡易宿所に関するものを上げると
- 営業施設の内外は一日一回以上清掃すること
- 各客室の収容定員は、1.65平方メートルにつき1人とすること。この場合、階層式のものにあっては、各階の有効面積を基礎として算出すること。
- 客室にごみ箱を備え、水差し、コップ等飲食用の器具を備える場合は、清潔で衛生的なものを置くこと。
- 寝具類は、常に清潔にし、しばしば消毒を行い、敷布、掛えり、浴衣、まくらカバー等の布片類は、客一人ごとに洗濯したものと取り替えること。
- 洗面用水は飲用に適する水を使用すること
- 便所は、毎日清掃し、清潔に保つこと
- 営業施設で生じたごみその他の廃棄物は、適切な方法により処理すること
- 浴室等の管理方法
が定められていました。
とくに浴室等の管理方法が色々細かく決められています。
施設の構造設備基準 ~旅館業法施行令第1条第2項第10号~
建物の設備の基準も旅館業法施行令の中で各自治体が条例で定める旨が書いてあります。
以下が藤沢市の条例の内容を簡単にまとめたものです。
- 建物は乾燥した土地に建てられ、かつ、不潔な場所に位置しておらず、建物の床下は、通風及び排水が良好な構造であること
- 施設の外壁、壁、広告物が周囲の建築物と比べて著しく不調和でないこと。
- 客室の採光、換気用の窓は自由に開閉できる構造であること。
- 地下又は屋根裏の客室は換気できる設備があること。
- 洋室の客室には、水または湯を供給できる設備を有すること。
- 和式の客室には、他の客室、廊下等との境を壁、板戸、ふすま等で区画され、他の客室、廊下等から見通すことができない構造であること。
- 客室には、鍵のかかる構造設備を有すること。
- 客室には、自動精算機など、面接しないで料金を受け取る構造設備をおかないこと。
- フロントを設け、宿泊者名簿を記入させる受付台を有し、客に直接面接できる構造設備であること。
- 洗面所には、流水式洗面設備が設けられていること。
- トイレは調理室と接続しておらず、窓その他の開口部には、ねずみ及び昆虫を防ぐ構造設備があり、流水式手洗い設備があること。
- 共同便所はその階の宿泊定員数が5名以上の場合各階に一つなければならないこと。
- 排水の設備は、不浸透性の材料で作られ、完全に排水できる構造設備であること。
- 浴室は不浸透性の材料で作られ、脱衣所が別に設けられ、汚水を停滞することなく、下水溝に排出できる構造であること
他の条例でも似たような形で定められています。
ここから簡易宿所営業の許可を得るためには
客室には鍵のかかる金庫のようなものを設置すること、入り口にフロントを設け、宿泊者名簿を用意すること、5名以上の宿泊定員数の階にはトイレを用意すること、
がポイントとなってきます。