民泊の経済効果に関して、新経済連盟の井上高志理事長は「総額で10兆円以上の経済効果を生み出す」という独自の試算結果を3月13日、政府の規制改革会議で報告しました。
10兆円もの大規模な経済効果はどのようにして生み出されるのかについて解説したいと思います。
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民泊について政府の立場の発表
民泊に関して安倍晋三政権は「国家戦略特区の先行事例(東京都大田区の例)を踏まえて民泊サービスの規制を改革していく」と発言しており、政府としては民泊の規制を緩和していく方針だということがわかります。
厚生労働省・観光庁は旅館業法に定められた簡易宿所の許可を民泊ビジネスを行うものに促す一方、旅館業法上の面積基準、フロントの設置などについて緩和する方針を説明しています。
将来的には所有者が居住している一戸建てのようなホームステイタイプの民泊について、旅館業法の適用対象から除外する方向で新ルールを検討するとのことです。
それ以外のタイプの民泊についても、厚労省の担当者は、新ルールを考える可能性があるようです。
この規制緩和の流れにのって、新たな民泊ビジネスが生まれてくるものと予想されます。
10兆円の経済効果の中身とは?
前提として、物件数約200万戸、外国人の受け入れ可能人数が年間約2500万人という想定のもとで以下のような試算がされています。
- ゲストによる消費 約3.8兆円
- ホストによる投資 約1兆円
- 外国人のインバウンド消費関連 約7.5兆円
ゲストによる消費
ゲストによる消費の中には地域の飲食店や商店で外食、買い物などをしたり、温泉等の利用、お土産物として地域の名産品の購入などがあります。
「平成24年訪日外国人消費動向調査」でおこなったことでも第1位が日本食を食べること(95%)、第2位がショッピング(76.8%)、第3位が繁華街の街歩き(64.2%)と自然・景勝地観光(58.5%)よりも多くの割合を占め、地域の経済活性に直結するような行動をとっているのが分かります。
ホストの投資
ホストは貸し出す物件のリノベーション、補修、家具の購入・レンタルなどに投資をしたり、掃除代行や鍵の受け渡しサービスなどの関連需要を生み出す。
また、こうした新しいサービスによって地域の雇用を生み出すという側面もあります。
外国人のインバウンド関連
外国人が日本に来ることによって、ホテル業界やその予約サイト中国人の爆買いがみられる家電製品、化粧品、医薬品関連などの消費が大きく伸びます。