国家戦略特別区域を利用した民泊(特区民泊)が話題になっていますが、特区以外でも民泊施設・ゲストハウスを始めとする宿泊施設を積極的に誘致しているのが奈良県です。
奈良県では新たに宿泊施設を開業しようとする人に様々なサポートを行っています。
今回は奈良県の宿泊施設開業の支援制度をご紹介したいと思います。
Contents
宿泊施設開業のための無利子無担保の創業融資制度
奈良県では、県内で宿泊施設を創業する際に必要な「施設改修費用」や「運転資金」に利用できる創業支援資金を用意しています。
この創業融資支援資金に関しては
・利率0%
・保証料無料
・担保や連帯保証人も原則不要
と通常では考えられないような条件です。
この融資制度はゲストハウスや民泊施設などの「簡易宿所営業」の創業でも使うことができます。
主な条件は以下の通り
対象者 | 1.事業を営んでいない個人で、借入額と同額以上の自己資金を有し、1か月以内に奈良県内で新たに事業を開始する、あるいは2か月以内に新たに会社を設立し、具体的計画を有する者 2.中小企業者である会社が自らの事業の全部又は一部を継続しつつ、県内で新たに中小企業者である会社を設立し、設立される会社が事業を開始する具体的計画を有する者 |
資金使途 | 設備資金・運転資金(運転資金については、融資対象とならない場合有) |
融資限度額 | 1500万円 ※有利子の「創業支援資金」(年1.575%)と併用し、2500万まで可能 |
融資期間 | 設備資金・運転資金:7年以内(内据置:1年以内) |
融資利率 | 年0% |
信用保証料 | 年0% |
担保及び保証人 | 担保:不要 奈良県信用保証協会の保証が必要 法人代表者以外の連帯保証人は原則不要 |
このような条件での融資がある背景として、奈良県では観光産業を生かすため宿泊施設の創出に力を入れて、地域経済の活性化を目指していることが挙げられます。
規制緩和による宿泊施設支援
奈良県では融資以外にも、宿泊施設建設を推進させるため、観光資源周辺において、小・中規模な宿泊施設に対して規制緩和を行っています。
具体的には、都市計画法や建築基準法を緩和して旅館やホテルが建てられなかった市街化調整区域についても宿泊施設の建築が可能になります。
小規模宿泊施設(延べ面積:原則500㎡以下)の対象区域
- 対象観光資源の最寄りの鉄道駅、バス停留所、観光駐車場から対象観光資源まで徒歩により通常利用する道路の沿道から概ね500m以内の区域(対象観光資源の敷地から50m以内の区域を除く)
- 対象観光資源から概ね500m以内の区域(対象観光資源の敷地から50m以内の区域を除く)
中規模宿泊施設(延べ面積:原則2000㎡以下)の対象区域
- 観光ゾーンとして市町村の総合計画又は都市計画マスタープラン等に位置付けられた区域
- 宿泊ゾーンとして県産業・雇用振興部局が設定した区域
上記の「対象観光資源」は、重要文化財、国指定の史跡、県若しくは市町村しての有形文化財若しくは史跡に指定されていて、年間を通じ相当数の来訪者があると認められるものです。
普通だったら絶対に宿泊施設が建てられないようなところにまで建設が可能になるので、旅行者にとっても便利ですね。
ただし、対象観光資源の50m以内は近すぎて景観を損なうおそれがあるので、建設は認められません。
宿泊施設の新設に係る優遇税制
奈良県では宿泊施設の運営者に対して税金面でも優遇があります。
優遇されるのは、事業税及び不動産取得税です。
事業税の軽減
1.客室数30室以上または収容人員100人以上
2.新規雇用5人以上かつ増加する県内の総従業者数が5人以上
の両方の条件を満たすと事業税の所得金額部分が3年間通常の3/4 に軽減されます。(年間軽減額は、1億円以内)
不動産取得税
1.客室数30室以上または収容人員100人以上
2.3年間宿泊施設以外の用途に使用しないこと
の両方の条件を満たすと宿泊施設及びその敷地部分いついて課税標準額を通常の3/4に軽減。
その他の支援
よろず支援拠点
中小企業・小規模事業者の売上拡大・経営状態など、経営上のあらゆる悩みの相談に、無料で対応してくれます。
抱えている課題に対して、具体的な解決策をワンストップサービスで提供してくれるようです。
奈良県よろず支援拠点
TEL 0742-81-3840
専門家派遣制度
創業・開業に伴う事業計画の策定や経営課題の解決策に、経験豊かな専門家のアドバイスを受けることができます。
創業支援、マーケティング、ウェブサイトについてなどの相談を受けつけています。
専門家の派遣についても、派遣金額のうち1/2の負担で利用できあす。
公益財団法人 奈良県地域産業振興センター
TEL 0742-36-8312
奈良県で宿泊施設開業をする方はぜひ制度を利用しよう!
長野県の軽井沢町のように民泊に対して反対を表明した都市もあれば、奈良県の様に手厚く支援してくれる都道府県もあります。
実際この制度を利用して作られたゲストハウス等も県のホームページで紹介されています(http://www.pref.nara.jp/2667.htm)。
開業場所については、その都市が民泊やゲストハウスに対してどういったスタンスであるかというのもチェックする必要がありますね。
奈良県の支援制度詳細については下記ページでご確認下さい。
http://www.pref.nara.jp/dd.aspx?menuid=2667
詳細についてのお問合せは企業立地推進課 企業誘致係(TEL:0742-27-8813)までお願いいたします。