民泊新法

許可不要の民泊営業が閣議決定で「年間180日以下」に制限。悪いところ取りの失策ではないか?

The_Diet

個人宅の空き部屋を旅行者などに有料で貸し出しをする「民泊」について、閣議決定により営業日数の上限を「年間180日以下」とすることとなりました。

民泊営業を考える不動産事業者にとっては厳しい制限にはなると思います。

今後の民泊の営業について書いてみたいと思います。

 

閣議決定の影響

日本では現在のところ有料で自宅の部屋を継続的に貸し出す行為は旅館業法の許可が必要になります。

今回の閣議決定では「民泊」の営業日数の上限について「年間180日以下」という条件を設けるのであれば、住宅提供者や不動産業者が届出を行うことによって「民泊」を解禁するという方針が決まりました。

この決定により、法制化が進めば週末だけ外国人旅行客に自宅の空き部屋を貸し出すことが今までに比べて簡単にできるようになります。

旅館業法の許可を取得する必要はありませんが、こうした民泊をするためには、宿泊者名簿の作成や衛生管理を義務付ける内容となっています。

構造・設備については旅館のようなものは必要ないですが、管理は旅館と同様に行ってくださいということですね。

届出による民泊解禁については不動産業者はかなり期待をしていたものと思われますが、今回の閣議決定で方針転換を余儀なくされたでしょう。

営業日数の制限が年間180日以下ということは、稼働率は最大でも50%以下であとの期間はただ管理費のかかる物件になってしまいます。ビジネス的には厳しいですね。

内閣府によると営業日数の上限は年90日の英国、年60日のオランダなどの例を参考に調整を図るようなので、180日営業すらできない可能性もあります。

届出による民泊は個人宅向けの制度となりますね。

 

民泊施設を運営していくためには

ビジネスとして運営していくためには「旅館業の許可」を取得するしかないことが今回の閣議決定ではっきりしました。

旅館業の許可を取ることがハードルを上げているようなことが言われますが、しっかり設備に関するお金を用意すればそれほど高いハードルではないです。きちんと運営すれば十分ペイできるレベルのものですし、旅館業の許可を取って一泊3000円ぐらいの安価な宿泊料で宿を提供しているゲストハウスでも十分経営は成り立っています。

ただし、旅館業法自体少し改正をする必要はありますね。昭和23年に成立してから概要はほとんど変わっていません。現代社会においてこの法律で運用するのはかなり無理があると思います。民泊を旅館業法の規制の中におくならば必要な措置です。

 

まとめ

今回の閣議決定によって不動産業者からの参入は少なくなるでしょう。経済効果としてもマイナス要因にはなりますね。

日本は両社の意見の間を取るような決定が多いです。不動産業者と旅館業者の両方に配慮したのでしょう。しかし、今回の決定は個人的に失策だと思います。

一般家庭での民泊が解禁されトラブル問題は解決されず、経済効果も大してあがらない制度になってしまいました。

旅館業者側も届出で事業に参入するチャンスを失い、個人のボランティア的な価格との競争を強いられることになります。

いわば悪いところ取りをしてしまいましたね。

規制なら規制、緩和なら緩和と思い切った政策でいくべきでした。

今後は民泊に関しては旅館業法の許可を取って行う事業者と個人宅で届出て行う個人とに分かれていくのではないでしょうか。

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