民泊やゲストハウスを始めるために一般的には旅館業許可のうちの簡易宿所営業の許可が必要となります。この際に問題となるのが、設備要件としてのトイレ、洗面台、浴槽などの水回り関係の設備です。
設備を揃える際に一番安価に導入できそうな3点ユニットバスが候補に挙がってくると思います。
今回は3点ユニットバスで簡易宿所営業の許可が取れるかどうかについて書いてみたいと思います。
3点ユニットバスとは
3点ユニットバスはお風呂、洗面台、トイレがセットになっているユニットバスです。ワンルームマンションやホテルに部屋などによく用いられていますね。
ユニットバスは工場であらかじめ天井・浴槽・床・壁などを成型しておき、それを現場に搬入します。タイルを一枚一枚貼って造る従来の工法に比べて、短時間の施行で済み階下への水漏れのリスクも少なく費用も安価にすむメリットがあります。
3点ユニットバスはお風呂、洗面台、トイレが1つずつあるのでこれを旅館業の設備としてカウントしてもらえば費用を削減することができます。
では3点ユニットバスは簡易宿所営業の設備として3つを満たしていると認められるのでしょうか?
結論としては認められない自治体が多いです。
以下で理由を述べてみます。
ホテルでも使われているのに3点ユニットバスが簡易宿所でダメな理由
3点ユニットバスはホテル等で用いられている設備なので、簡易宿所に備え付ければトイレ、洗面台、お風呂を1つずつ用意したことになりそうな気もします。
しかし、保健所はトイレ、洗面台、お風呂としてどれか1つの設備としてしかカウントしてくれないところが多いです。その理由としては、簡易宿所営業が「多人数が共用して使う」という性質を持っているためです。
ホテルの客室は基本的に1室に1組泊まることが想定されています。ここに3点ユニットバスを置いても他の人が使用している間はトイレやお風呂が使えなくても特に問題は起こりません。
簡易宿所営業の場合には見ず知らずの人が共用して使うことを想定しています。誰かがお風呂を使っているときにトイレが使えないといったことや、トイレを使っている間に他の人が洗面台が使えないといったことはきちんと設備を満たしているとは言えないといったところがほとんどの役所の解釈です。
旅館業の申請の多い台東区の手引きにはこの点が明確に書いてあります。
ただし、これも法令で定められているわけではないので判断は役所によって異なります。3点ユニットバスを3つの設備としてカウントしてもらえる役所もあるかもしれません。まずは保健所等に確認をとってみてください。
まとめ
簡易宿所営業の水回りについては許可取得の際には費用面でネックになります。意味もなく大量のトイレが必要になったりしていることが多いです。きちんと旅館業法制度本来の主旨にたちかえって考えていくべきではないでしょうか。
その点で民泊新法が整備されるのかもしれませんね。
現在では構造・設備要件が厳しくなかなか空き部屋や空き家の活用が難しい状況です。せっかくストックとしての不動産があるのですからうまく活用してほしいものです。