一般住宅で民泊施設運営のため簡易宿所営業の許可を取得しようとした場合に問題となるのが、「用途変更」、「フロントの設置」、「消防設備」、「トイレ」の4つです。
特にトイレの数については各自治体の条例で設置する数が変わってくる上、法令の解釈が異なることで基準の設置数よりも多くトイレの数を設けなければならない場合があります。
今回はよく問題になるトイレの設置数について詳しく書いてみたいと思います。
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簡易宿所営業におけるトイレの考え方
簡易宿所営業とは「宿泊する場所を多人数で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる」営業のことをいいます。
トイレの数の解釈で問題となるのが「多人数で共用する」という部分です。つまり部屋にあるトイレは「共同トイレ」とみなされます。
国の基準である旅館業における衛生等管理要領の中で
便所は、宿泊者等の利用しやすい位置に設け、収容定員に応じ適当な数を有すること。
なお、共同便所を設ける場合は、男子用、女子用の別に分けて、おおむね同数の割合で便所を設け、その便器は、収容定員(便所を付設する客室の定員を除く。)に応じて適当な数を備え付けること。
と定められています。
簡易宿所営業の場合、基本的に部屋は多人数で共用する形なので、共同便所ということになり男子用と女子用のトイレが必要になります。
例え収容定員が5人以下で便器の数が1個と定められていても、男子用と女子用に別れて設けるので2個必要となります。
その階の客室に全てトイレがあれば共同便所は設けなくていいという規定もありますが、この場合「客室」と想定されているのが旅館やホテルのような個室なので簡易宿所営業の部屋には当てはまりません。
ただこの辺りは各自治体でも条例等で定められており、共同便所を男女別に2つ設けなくていいところもありますし、全ての階に2つずつ設けなくてはいけないところもあります。
2階建て2部屋の一戸建てで1組しか泊まらない部屋であったとしても、1棟貸しであったとしてもトイレは各階に2つと言われた例もありました。
そもそも民泊施設を旅館業としたところからおかしな話が始まっているわけで、1組しか泊まらない場所になぜトイレが男女別に4つも必要なんでしょうか。
ちなみにスタッフルームのみの階では男女別のトイレが必要との規定はないのでスタッフルームということにすれば1つでいいと説明を受けたこともあります。
当然ですが役所は実態ではなく「規定」が全てです。許可取得の際にはいかに「規定」をクリアするかという観点で柔軟な発想で挑んでください。もちろんきちんと法令を読み込んで納得させるだけの根拠を示さなければなりませんが。
建物のタイプとトイレ
建物のタイプによってトイレの設置のハードルは変わってきます。以下に基本的な考え方を書きます。
マンション1棟を簡易宿所にする場合
マンション1棟を民泊施設にする場合は1戸ごとにトイレが設置されていれば共同トイレは不要になります。
マンションの中の1戸を簡易宿所にする場合
現実的にはなかなか難しいですが、トイレに関しては1戸に1つあれば大丈夫な例もあります。
マンションだからといって簡易宿所の許可が絶対取れないわけではないので営業許可を取る方は参考にしてみてください。
一戸建ての場合
通所は個々の部屋にはトイレが設置されていないので男女別の共同トイレが必要。
水回りのリフォームが必要となるので費用がかかります。
まとめ
簡易宿所営業の場合は、便器の必要個数だけでなく男女別の共同トイレが必要となるのかについてよく保健所等に確認する必要があります。
勝手な思い込みで物件を選んでしまうと、あとで各階に2つずつトイレを新たに設置するはめになる危険性があります。
トイレ設置の工事は通常のトイレのリフォームと違い配管から行うので費用が高額になりがちです。
トイレについてもきちんと保健所に問い合わせてから物件を探すようにして下さい。