2018年3月15日から事前受付が始まっている民泊新法による住宅宿泊事業者の届出ですが、3月29日に国交省より告示があり非常用照明の設置基準が変更となりました。
住宅宿泊事業をするためには、建築基準法施行令に定められた規格を満たした非常用の照明装置の設置が必要でしたが、今回の告示で必要なくなる部屋もでてきます。
私の事務所でも代行でいくつか届出を行っていますが、住宅宿泊管理業者の登録が進んでいないため家主不在型の届出に関してはこれからという状況です。
今後の届出に大きく関係する非常用照明装置に関する改正を解説したいと思います。
非常用照明の設置が不要となる部分
非常用の照明装置とはどんなものかは以下の記事を参考にしてください。
参考記事: 住宅宿泊事業法の非常用照明器具ってどんなもの?
今回の告示の改正で設置が不要となるのは以下の居室です。
・床面積30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの
・床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の①又は②に該当するもの
① 非常用の照明装置が設けられたもの
② 採光上有効に直接外気に開放されたもの
民泊新法の場合今まで1階、2階部分の居室では
- 採光に有効な開口部の面積の合計が居室の床面積の1/20以上であること
- 避難階では、居室の各部分から屋外への出口に至る歩行距離が30m以下、2階では居室の各部分から屋外への出口等に至る歩行距離が20m以下であること
の両方を満たすと非常用の照明装置の設置は不要でした。
この改正の恩恵を受けるのは、3階以上の居室の部分、採光上有効な開口部の面積が1/20なかった部屋、床面積が大きな物件となりそうです。
旅館業許可や特区民泊も影響が大きい
旅館業許可の場合でも、ホテル・旅館といった建物には原則すべての居室に非常用の照明装置が必要でしたが今回の告示の改正の影響を受けます。
もちろん例外規定で設置しなくて済む部屋も多いのですが、かなり非常用照明の設置費用が削減できるケースがでてきます。
またこちらの改正は特区民泊にも影響を及ぼします。
特区民泊においても、建築基準法に基づく非常用の照明装置の基準を引用していることから、今回の見直し内容が同様に反映されます。
改正によって、安全を確保しながら非常用照明装置の設置費用やメンテナンス費用の削減が可能となります。
事前受付中も建築や消防の改正が予定されている。
今回の改正の詳細は国交省のページにも詳しくのっていますので参考にご覧ください。
民泊新法に関しては届出の事前受付を行っていますが、事前受付の期間中にも消防・建築といった分野で改正が行われていく可能性があります。
今後も、スプリンクラー設備や誘導灯に関する改正、耐火構造に関する改正、用途変更に関する改正などが予定されています。
申請業務を行っていても役所が混乱している感じですね。
今の時期、住宅宿泊事業法の届出を行うのはなかなか大変だと思いますが、常に法改正の情報はキャッチし続けるようにしてください。