Airbnbの物件探しで問題になるのが、住宅から「人を泊める」ための施設になるのでリフォームが必要になるかどうかです。
特に問題となるのが、トイレと消防設備です。
今回はトイレについて書いてみたいと思います。
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トイレは原則いくつ必要か?
Airbnbで部屋を貸し出すには旅館業の許可が必要になります。
民泊に関しては旅館業の中の「簡易宿所営業許可」が通常必要です。
旅館業法施行令の中でトイレの数は適当な数としてか書いておらず、実際には各自治体の条例に設置基準が書かれています。
大阪市の場合
男子用と女子用とを区分した共同便所を設け、宿泊定員に応じた数の便器を設置することが求められます。
- 収容定員 6〜10名: 便器3個
- 収容定員11〜15名: 便器4個
- 収容定員16〜20名: 便器5個
通常の住宅に便器が3個あることはほとんどないのでリフォームが必要ということになりますね。
またこのトイレの数の規定は客室を有する各階ごとの規定です。
例えば1階の客室定員が10名、2階の客室定員が11名の施設だった場合には、最低でも1階に便器が3つ、2階に便器が4つ必要となってきます。
ただし男子トイレについては大便器が1つあれば他は小便器でも可としている自治体も多いので各保健所で確認が必要です。
トイレの増設には1つでも少なくとも40万円以上かかりますので、きちんと予算を組んでおくことが必要ですね。
東京都品川区の場合
品川区の場合は保健所発行の「旅館業のてびき」の中でトイレについて記載があります。
共同便所の便器数は、便所を付設していない客室を有する階には、男子用と女子用を区分した共同便所を設け、便所を付設していない客室の宿泊定員に応じた数の便器を設置しなければなりません。
品川区の旅館業に関する条例施行規則の中で、共同便所の数が定められています。
- 5人以下: 便器2個
- 6〜10名 : 便器3個
- 11〜15名: 便器4個
- 16〜20名: 便器5個
- 21〜25名: 便器6個
- 26〜30名: 便器7個
となっています。
大体、大阪と似たような基準ですね。
東京でもそれほど大きくない一戸建ての建物では、客室の置き方と定員の決め方によって、必要な便器の数がかわってくるので工夫が必要です。
品川区の場合には、スタッフルームだけの階については男女別の共同トイレを設ける必要はなく、トイレも1つでOKという規定ですが、中央区の場合には客室がなくても全ての階に男女別の共同トイレの設置が求められます。また文京区のように各階に一つトイレがあれば男女別の共同トイレの設置は求めないとしているところもあります。
トイレの設置の仕方は各自治体で細かく違うので、条例を調べて保健所へ聞くか役所の規定に詳しい行政書士のような専門家に相談してみてください。
トイレのリフォームが必要のない民泊
簡易宿所営業の許可を取得する方法では、トイレのリフォームが必要となってくる場合がほとんどです。
出費も大きいですし、気軽にはできないですよね。
ただ、このトイレのリフォームをしなくても合法的に民泊ビジネスをする方法があります。
それは、国家戦略特区での特区民泊を利用する方法です。
条例が制定されれば旅館業法の適用除外となる地域が
あります。
民泊条例を制定できる国家戦略特区は、
東京都全域
神奈川県の全域
大阪府、兵庫県、および京都の全域
です。
もしリフォームがネックだと思っているならこれらの地域で条例の制定を待って、民泊ビジネスを始めるとよいでしょう。
ただ特区民泊では1日単位での貸し出しはできず、7日以上の滞在の外国人と日本人が対象となります。
メリット、デメリットを考えて簡易宿所営業の許可なのか、特区民泊なのかを選択するとよいでしょう。
※2016年10月31日追記
政令の改正により特区民泊では条例を定めれば「2泊3日」以上の滞在の外国人と日本人が対象となるよう緩和されました。
各自治体の条例が改正されれば短期の宿泊者を受け入れることが可能になります。特区民泊の制度はかなり使いやすくなったと言えます。
現在のところ特区民泊を行える又は行う予定の市区町村については以下の記事を読んでみてください。
参考記事: 特区民泊(外国人滞在施設経営事業)を始めるための9つのステップ