民泊ビジネス

湘南地域でゲストハウスや民泊を始めたい人必見!藤沢・鎌倉の宿泊需要をデータと感覚で語ります。

七里ガ浜

私は藤沢市に事務所を構え、司法書士・行政書士として旅館業法関連の業務をおこなっています。

藤沢や鎌倉の来る観光客とゲストハウスの数が増えたなぁと感じていたので、最近の湘南地域の観光客数と宿泊客のデータを調べてみました。

この記事ではデータと地元の人間の肌感覚を書いてみたので、民泊やゲストハウス開設の際のデータの参考としてご活用下さい。

 

Contents

湘南の観光スポット藤沢市と鎌倉市

湘南地域で一番多く観光客が訪れるのが、江の島のある藤沢市と鶴岡八幡宮をはじめ数々の寺社がある鎌倉市です。

ここ2~3年で異常に観光に訪れる人が増えた感覚があります。

ゴールデンウィークには、江ノ電という路面電車の駅から人が溢れ、移動もままならない状況ですし、観光シーズンには飲食店に入ることすら大変になりました。

主要な通りには新しいお店が続々とオープンし、テナントの賃料もかなり上昇しています。

まずは実際にどの程度観光客が増えたのか藤沢市と鎌倉市のデータを見てみたいと思います。

 

藤沢市の観光客・宿泊者数データ

藤沢市の観光客数統計表のデータが以下のものです。

年間観光客数 日帰り客 宿泊客数
平成20年 13,401,026 13,036,868 362,344
  21年 13,864,129 13,501,368 362,761
  22年 15,408,300 13,501,368 392,431
  23年 11,940,355 11,566,527 373,828
  24年 15,153,934 14,733,589 420,345
  25年 15,523,628 15,093,015 430,613
  26年 17,738,094 17,279,700 458,394
  27年 18,335,343 17,797,704 537,639
  28年 18,648,408 18,103,422 544,986

 

年間の観光客と宿泊者数が平成26年から急激に増えているのが分かると思います。

これはちょうど訪日観光客数が急増した年と重なります。

平成26年の訪日外国人数は1341万人、平成27年には1974万人に急増しています。

藤沢市はインバウンド需要と大きく関係がありそうです。

実際に江ノ島付近では中国・台湾・韓国系の観光客の方が増えたと思います。

インバウンド需要以外でも、映画やテレビ、アニメなどの舞台となったことや、市が行っている観光政策の影響も大きいです。

 

日帰り観光客の多い藤沢市

藤沢市ではデータからも分かる通り日帰りの観光客が非常に多い地域です。

通常観光客の1割から2割は宿泊客となるのですが、藤沢市ではわずか3%です。

原因としては

  1. 都心から近いこと
  2. 宿泊施設が少ないこと

が考えられそうです。

まず

「都心から近いから宿泊客が少ないんだ」

という意見もありますが

より都心に近い横浜市の資料では

平成27年度の観光集客実人員  3761万人
平成27年度の宿泊者数      512万人

となっており、

観光客の13.6%が宿泊客になっているところを見ると理由は別にあると言わざるを得ません。

やはり一番大きな理由は宿泊施設の不足です。

観光スポットの江の島近辺では多人数が泊まれるリゾートホテルがほとんどありません。

海岸近くの旅館、ラブホテル、ゲストハウスといった小規模施設ばかりです。

藤沢市の旅館業許可施設へのアンケートでは、回答のあった施設の客室稼働率平均が約80%であったことも宿泊施設不足であることが伺えます。

通常の観光客の宿泊需要は少なく見積もっても1割です。

年間1800万人の観光客の1割が宿泊すれば180万人ですね。

藤沢市では宿泊需要を130万人ほど逃していることになります。

観光消費額は大体1万人で1億円ですから、130億円もの消費を逃していることになります。

 

鎌倉市の観光客数データ

鎌倉 江ノ電

鎌倉市の観光資料による観光客のデータは以下のようになっています。

観光客数
平成20年 19,344,470
  21年 18,833,713
  22年 19,486,481
  23年 18,110,868
  24年 19,743,182
  25年 23,083,038
  26年 21,956,245
  27年 22,925,780

 

鎌倉市の場合はそれほどインバウンドの需要との強い相関が見られるわけではありません。

訪日外国人観光客が増えた平成26年などは観光客数は減っています。

藤沢市では観光客数が平成20年に比べて40%近く増えているのに比べて、鎌倉市は10%程度となっています。

もとから観光客の多い地域ということもありますが、実は鎌倉は外国人への地名度がそれほど高くありません。

マッキンゼーというコンサルタント会社の調査では、アメリカ、イギリス、オーストラリアの方にアンケートを取ったところ、鎌倉を知っている外国人はわずか9%でした。

鎌倉や奈良、日光について説明した後に、魅力を感じたと答えた人の割合が34~42%でした。

まだまだ潜在的な外国人需要をつかめていない地域であるといえます。

鎌倉市で観光客が増えている原因として考えられるのが

  1. テレビドラマなどのメディアへの露出
  2. 宿泊施設の増加

が挙げられます。

鎌倉市では最近多くのテレビドラマの撮影が行われています。

実際にドラマの舞台となっていたお店は人気店となっていますね。

こうした背景から個人的には日本人観光客が増えているように思います。

また、鎌倉駅付近にゲストハウスの数が大きく増えました。

鎌倉市では条例で高さのある建物は建てられないので大きなホテルが参入してくることはありませんのでゲストハウスのような小規模施設が中心となります。

市内では住居専用地域が多く、宿泊施設ができる土地やビルは限られているので物件の取り合いのような状況です。

実際私が物件調査している最中にも、この物件買えますかと道を歩いている人に尋ねられたことがあります。

ゲストハウスの他にもカフェを始める方が増えました。

数年前と比べるとカフェの数もかなり増えたのではないでしょうか。

 

冬の湘南も意外と人は来ます。

湘南というと夏というイメージで、

「冬は商売やっていけないでしょ」

なんてイメージがあるかもしれませんが最近はそうでもありません。

以下が平成27年の藤沢市の月別宿泊者数のデータです。

宿泊者数
1月 37,520
2月 36,422
3月 46,418
4月 43,102
5月 47,256
6月 43,046
7月 46,231
8月 55,997
9月 46,755
10月 47,355
11月 44,615
12月 42,922

 

湘南で宿泊する人が冬に急激に減少するわけではないことが分かると思います。

下の写真は私が2月に江ノ島の島内で撮影したものです。

昔は冬場にこんなに人がいることはなかったのですが、最近では江ノ島でのイベント等が人気で多くの人が訪れています。

市の観光政策で冬場でも人を呼び込む工夫がされています。

今は、湘南を訪れる観光客は夏だけじゃないんです!

 

県内隣接地域との比較

湘南地域での宿泊客が伸びていることを伸びてきましたが、実はまだまだ少ないのが現状です。

平成26年の県内観光地域別の入込観光客数についての日帰り客と宿泊者数のデータを見てみましょう。

入込観光客数とは、観光地や遊園地などの施設、観光地域などの入場者数、来訪客の数のことを言います。

湘南地域(鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、寒川町、大磯町、二宮町)
日帰り 5148万人
宿泊者 108万6000人

三浦半島地域(横須賀市、逗子市、三浦市、葉山町)
日帰り 1384万3000人
宿泊者 109万5000人

箱根・湯河原地域
日帰り 2602万9000人
宿泊者 549万1000人

 

三浦半島地域の4倍もの観光客がいながら、宿泊者数はほぼ同数、

箱根・湯河原地域は湘南地域よりも5倍以上宿泊者数が多い結果となっています。

隣接地域と比べるといかに観光資源を生かせていないかが分かります。

ポテンシャルが高い地域だけに非常にもったいないですね。

 

湘南という土地も変わりつつあります

昔は湘南といえば夏だけのイメージでしたが、最近では一年を通して人が訪れる地域となりました。

観光客数のデータは観光スポットごとの延べ人数ということもあり、正確な数値ではありません。

しかし、データでは観光客は確実に増加傾向にあります。

その中で観光地としてのポテンシャルとしてはかなり高いものを持ちながらも、それを生かせていない状況は市民としても歯がゆいです。

個人的には湘南地域の活性化のためには、宿泊施設の増加が不可欠だと思います。

私の周りでは、小規模な一戸建ての賃貸でのゲストハウスでも月に100万近く売り上げているところが結構あります。

湘南地域でもゲストハウスや新法での民泊が増えると街はもっと面白いことになりそうです。

 

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