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京都市が「民泊110番」を設置!違法物件取り締まりの高いハードルを越えられるか

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一般住居の空き部屋に有料で旅行者を泊める「民泊」をめぐる違法行為や近隣トラブルを防ぐため、京都市は市民からの通報を受ける専用窓口を開設することになりました。

以前から京都市では民泊への警戒を強めており、対策プロジェクトチームを設置し、無許可の業者の調査や指導を行ってきました。

今回の窓口設置により、市民側からも協力を仰ぐことで、無許可の悪質な業者を徹底的に排除していく考えです。

今回は京都市に設置された「民泊110番」と営業停止・刑事告発へのハードルについて解説したいと思います。

 

Contents

民泊110番とは

5月25日の京都市議会の答弁で市長が民泊に関して市民から通報を受ける専用の窓口を設けることが明らかになりました。

市は6月にも専用の電話番号とメールアドレスを用意する予定で、自治体が通報窓口を設けるのは異例のことです。

「不特定多数の外国人が連日出入りしている」、「騒音がひどい」などの苦情を受け付けると、市職員が現場に出向いて状況を調べ、宿泊施設を提供する個人や事業者に事情聴取する予定です。

旅館業法上の許可がない違法なケースが見つかった場合、営業を中止させたり、悪質なケースでは刑事告発も視野に入れています。

 

営業停止、刑事告発への高いハードル

京都市が民泊110番を設置し本格的に無許可業者の排除を行うとの意思を表示しました。

これにより違法な民泊の取り締まりが実現すれば素晴らしいのですが、営業停止、刑事告発等するためには法的な問題によりハードル高いのも事実です。

営業停止、刑事告発をするためにはいくつかクリアしなければならない問題があります。

 

調査する人員の不足

違法民泊については調査する対象が非常に多いです。

市役所の職員が対応するとしていますが、現状保健所の職員が苦情を受け付けていますが全く人手が足りない状況です。市役所職員にも通常業務があり、民泊対応への人的なリソースが不足する状況は確実です。

違法民泊の摘発を行っていくためにはかなりの人員が必要となるでしょう。

 

行政の調査対象は限定されている

旅館業法では行政の調査権限が定められています。

行政庁は「営業施設への立ち入り調査」と「書類検査」の調査権限があります。

しかし、この調査権限は「営業許可を受けて旅館業を営業する者」に対してのみ行使することができます。旅館業法の許可を受けないで営業しているものに対しては行政調査、行政処分の対象ではありません。

旅館業法上の営業者には行政調査へ協力義務があり、これに反した場合罰則を適用したり、行政処分として営業許可取消・営業停止処分はできますが、違法民泊の場合「旅館業法上の営業者」ではないので、そもそも営業停止処分を下すことができないという問題があります。

 

刑事告発までの法的ハードルが高い

旅館業の無許可営業として刑事告発するためにはその営業が旅館業に該当することが前提です。

旅館業法では「民泊」を想定して作られた法律ではないので、その営業が旅館業に該当するかどうかの判断が不明確になりがちです。そもそも「民泊」という行為自体が法的に定義されていません。

きちんと旅館業法上の営業であるということが証明できない場合は捜査の遂行上大きな障害になります。

今までグレーゾーンと言われて取り締まりができなかったのも、この旅館業の該当性判断の部分が大きいと思われます。

営業行為には反復継続してする意思や事業性といったものが必要ですが、これを立証するのも困難です。違法性が確実に証明できなければ刑事事件として罰するのは難しいです。

 

取り締まるためには国側での法整備が必要

自治体が単独で営業停止や刑事告発を行って違法民泊を徹底的に排除していくには現状の法律では厳しい面があります。

国との連携をとって法整備を進めてからではないと、職員の業務はただの苦情処理になってしまい、その対応がさらに苦情を生むという悪循環に陥る可能性もあります。

無許可で営業した方が得などと絶対に思わせないような法制度を考えていかなくてはならないですね。

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