徳島県の規制改革会議は住宅の空き部屋を観光客に有料で貸し出す「民泊」を推進するため県条例の改正や国への政策提言を求めました。
東京、長野、京都などが民泊規制を強めるなか民泊推進を進める都市もでてきました。
今回は地方都市での民泊推進について書いてみたいと思います。
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徳島県規制改革会議の提言
会議の提言書では民泊について、国が4月から客室の延べ床面積基準やフロント設置基準要件の規制を緩和したことを受け、それと合わせる形に県条例も改正する必要があるとしました。
また、普段は宿泊施設としている場所を災害時に避難場所として活用する「シームレス民泊」を推進するため、必要な規制緩和を検討すべきとの提言を行っています。
提言書を受け取った飯泉知事は具体化する方向で取り組んでいきたいと話ました。
徳島県では以前からグリーン・ツーリズムの推進として廃校を利用した宿泊施設等の整備や農林漁業体験プログラムづくりなどに対して支援を行っており、民泊推進の土壌はありました。
条例が改正され規制緩和がされれば民泊施設の開設はかなりやりやすくなると思います。
民泊規制緩和で得られるメリットは大きい
都市部では民泊に関しての近隣トラブルや違法な施設の増加でデメリットばかりが取り上げられていますが、メディアに取り上げられていない部分でのメリットはかなり大きいです。
実際私が関わっている民泊の仕事でも地域経済への影響は多くみられます。
まずは建物に関して、不動産、建築、リフォーム業者への影響が大きいです。
東京等で民泊向きの物件で許可取得できる物件は需要が高く、いい物件があればすぐに決まってしまいます。神奈川県の弊所へのご相談でも物件に関するものが多く、東京、京都、大阪の物件で特に需要の高さを感じます。民泊用不動産は許可取得が可能であれば売れます。
また民泊施設として使うには、建築士による用途変更が必要であったり、施設・構造を整えるためにリフォームが必要であったりします。その地域の業者にお願いすることが多いので民泊施設の開設で恩恵を受けることになります。
また家具・家電が必要になりますので、インテリア、家電業界にも恩恵があります。小さな民泊施設を作る場合でも最低でも20万円ぐらいはかかりますから、こちらも大きな消費につながります。
民泊施設の備品の初期費用については、不動産業者がモデル運用したケースがあり、以前記事で書いたので参考にしてみて下さい
参考記事: 民泊はどのくらい儲かるのか?賃貸マンション(2LDK)を利用した民泊物件の収支公開!
こちらでは施設の備品に36万4395円かかっていますね。
この消費に加えて、旅行者の消費が加わります。
近隣での食事、買い物、観光施設へお金を払いますから、新経済連盟が行った試算の経済効果が10兆円というのも大げさな数字ではないと感じます。
日本の社会保障費が膨らんでいく中、新たな税収源が必要となっています。日本の社会保障制度維持のためにも民泊産業は役に立つのではないかと思います。
地方都市は地域経済活性化の絶好のチャンス
都市部では民泊の規制を強めているので、民泊運営者も許可を取れる場所を探しています。
もちろん宿泊需要が必要なのですが、最近の若者を中心に民泊の需要は高まりつつあります。実際私の事務所の近くのゲストハウスも連日満員で、当日来る外国人客を断っている状態でした。
安く宿泊ができるという点もありますが、旅の一つの楽しみに「出会い」というニーズが発生しているのだと実際に泊まってみて感じました。
都市部は規制緩和がなかなか進みません。今のうちに地方都市で民泊を推進して観光客を集めるという政策は有効な手段であると思います。
まとめ
徳島県では民泊推進に向けて条例改正が進んでいきそうです。神奈川県でもすぐにではないですが条例改正の動きがあるようです。
これからは民泊推進の都市と民泊規制の都市のスタンスがはっきりしてくるのではないかと思います。
民泊新法の制度設計にもいろいろ注意を払っていきたいですね。