民泊と法律

【旅館業許可】経営者が変わる時には名義変更の手続きが必要です。

もともと旅館業をおこなっていた物件を運よく見つけた場合にはそのまま営業が始められると思いますよね。

しかし、旅館業許可申請において施設の経営者が変わる場合には名義変更の手続きが必要で、旅館業許可申請とほぼ同じ手続きをしなくてはなりません。

今回は旅館業許可申請の名義変更手続きについて書きたいと思います。

 

Contents

もともと旅館業をおこなっていた物件を譲り受けても簡単には営業は始められない

もともとホテルや旅館だった施設を利用してゲストハウスを始めるケースがあります。営業に適した物件数自体少ないので難しいのですがこうした施設を改造して成功してる例もあります。

もともと許可が取れていた物件は構造・設備が整っているので簡単に営業が始められそうですが、検査済証がなかったり、既存不適格物件といって現行の建築基準法に適合していないこともあるので注意が必要です。

 

経営者が変わる場合は名義変更の手続きが必要

旅館業において同一の施設で経営者が変わる場合には新規の許可手続きが必要になります。車の名義変更のように簡単な書類を提出するだけではだめなのです。

つまり一から新規に旅館業許可を取り直さなければならないんです。おおよそ100m以内の学校等の施設に対して意見の照会をし、消防法令適合通知書を取り、施設の図面を作成して申請手数料を払います。こうした手続きに1カ月~2カ月ぐらい見ておかなければなりません。

また同時に既存施設で取得していた許可については現経営者が廃止手続きをすることになります。

 

個人から法人成りする場合も経営者の変更に当たります

個人事業主が新たに法人を設立して事業を法人へ変更することを「法人成り」
例えば個人事業主としてゲストハウスを始めて売上があがってきた場合には、法人にした方がトータルで払う税金が安くなることがあります。

一般的には個人事業主の所得が年間900万円以上になるようなら株式会社等を設立を考える時期にあたると思います。

ただし、旅館業営業の場合は「法人成り」の場合にも経営者の変更に当たります。個人と法人とはあくまで別人格として扱われます。

数か所の施設を運営していて法人成りした場合には、施設全部の旅館業許可申請をやり直さなくてはなりません。ゲストハウスを将来的に手広くやっていこうという方には私は最初から法人で始めることをおすすめしています。

 

経営者が変わっても許可申請をしなくてもいい場合が3つあります。

営業者が変わったからといって全ての場合で新規の許可申請と同様の手続きが求められるわけではありません。
以下の3つの場合に限って営業を承継することができます。

  • 法人の合併
  • 法人の分割
  • 相続

法人の合併・分割

法人の合併・分割の場合で事業を承継する場合には、合併・分割の登記前に旅館業営業承継申請書を提出し、承認を受けます。ただし営業者だった法人が他の法人を合併して存続する場合にはこうした手続きは必要ありません。

この場合実質的に経営者が変わるわけではないので承認を受ければ新規の許可申請のような手続きは不要です。

合併・分割を承認する総会の承認後に申請を行うことになります。

 

相続

個人営業で営業者が死亡した場合、相続人が引き続き営業を営もうとするときは、被相続人の死亡後、60日以内に旅館業営業承継承認申請書を提出し、承認を受けることで営業を続けることができます。

この場合には旅館業営業承継承認申請書に加えて、戸籍謄本と相続人の全員の同意書が必要になります。

 

まとめ

旅館業の営業は既存の営業者から承継を受ける際にも注意が必要です。名義変更の手続きについて理解をしていないと思わぬ落とし穴にはまる可能性もあります。

また営業を始める際にも将来の名義変更の可能性を考えて適切な業態で始めることが大切です。

シェアボタン






-民泊と法律