「特区民泊」(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)東京都大田区で2016年1月からはじまりました。
2016年4月にはいよいよ大阪府でも「特区民泊」がスタートします。
現在、合法的に民泊をするには、国家戦略特別区域内で行う「特区民泊」か、旅館業の「簡易宿所営業」の許可を得て行うかの2択です。
国家戦略特区では「簡易宿所営業」の許可を取って民泊を行うこともできます。
では、具体的にこの2つはどこが違って、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説いたします。
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特区民泊のメリット・デメリット
「特区民泊」は文字通り、国家戦略特別区域内でのみすることができる民泊の形態です。
特区民泊のできる可能性が或るエリアは、関東圏では、東京都、神奈川県全域、千葉県千葉市、成田市で関西圏では、大阪府、兵庫県、京都府の全域です。
この圏内で自治体が定める条例が制定されれば、特区民泊を行うことができます。
特区民泊のメリット
- 旅館業法の適用除外となり、許可を取得しやすい。
- 構造・設備に対してリフォームなどに多額の投資をしなくても民泊が始められる。
- 建築基準法上のホテル・旅館の要件を満たす必要はなく、消防法の一定の基準を満たす必要があるのみ
特区民泊のデメリット
- 条例の施行された国家戦略特別区域内の一定の用途地域内のみでしか申請できない。
- 最低滞在日数が6泊7日
- 申請手数料が簡易宿所営業に比べ数千円高い
特区民泊でネックとなるのは何といっても最低滞在日数でしょう。
7日以上の滞在が必要となるため、長期の宿泊客のみを対象に民泊を行うことになります。
外国人、日本人ともに宿泊のニーズは3日未満が最も多いです。
現状では、民泊施設の経営としては厳しいものにならざるを得ないでしょう。
簡易宿所営業のメリット・デメリット
「簡易宿所営業」は旅館業法上の許可を得て行う営業です。
旅館業法上の許可の中では、比較的許可の取りやすい営業形態で適法な民泊経営に広く利用されています。
しかし、「特区民泊」と違い旅館業法、建築基準法、都市計画法、消防法、各自治体の条例などの各要件を満たすことが
必要となります。
簡易宿所営業のメリット
- 1日から宿泊でき、短期滞在旅行客の集客が可能
- 正規の旅行サイトにも登録ができ、幅広い集客方法が可能
- 一定の用途地域内であれば、日本全国どこでも許可申請が可能
- 申請の手数料は特区民泊より数千円安い
簡易宿所営業のデメリット
- 施設の要件を満たすためのリフォーム費用がかかる
- 設備・構造要件が厳しく、許可取得が簡単とはいえない
簡易宿所営業では、1日単位での宿泊が可能なのでAirbnbなどとの相性はいいです。
ただし、施設を準備するのにリフォーム費用が必要となる場合がネックになります。
うまくリフォームの必要のない物件を見つけることができればいいのですが、数は少ないでしょう。
まとめ
現状「特区民泊」と「簡易宿所営業」を比較して個人的におすすめなのは、「簡易宿所営業」でしょう。
現実的に運営の面からみて、特区民泊は厳しいと思います。
ただし、現在民泊に関して法整備が進められていて、規制緩和に関して毎月新しい情報が出てきている状態です。
まだ噂レベルですが、2017年には
- 民泊管理業者に登録制を導入し、トラブル対応を義務付ける
- 住宅地でも民泊が可能になる
- 賠償責任保険の加入を義務付ける
- 1泊2日からでも許可する
といった法制化の情報も上がってきているので、将来の動向を見極めて営業形態を決めるとよいでしょう。