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特区民泊用の賃貸借契約書の作り方

      2016/10/23

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国家戦略特区を利用した民泊を始めるためには、特区民泊用の賃貸借契約書を作成しないといけません。

一から自分で作成をするのも難しいですし、普通の賃貸借契約書をまねてつくって大丈夫なのか心配ですよね。

そこで誰でも特区民泊用の賃貸借契約書を作れるよう賃貸借契約の基本から解説したいと思います。

 

賃貸借契約の基本

賃貸借契約とは、

当事者の一方があるものの使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって効力を生ずる。(民法第601条)

と定められています。

お金を払って物を借りる契約ですね。

賃貸マンション、レンタカー、レンタルDVDなどを思い浮かべてもらえれば分かりやすいと思います。

賃貸借契約で大事なことは

1.賃料の定めがあること
2.約束だけで成立すること

です。

 

賃料の定めがあること

賃貸借契約では必ず物の使用料を決めなければなりません。

「これ無料で貸してあげるよ~」っていった場合には賃貸借契約は成立しません。

無料で貸した場合には「使用貸借契約」という別の契約になってしまいます。

なので、特区民泊の場合にはかならず賃料(宿泊料)を定めなければダメです。

無料キャンペーンといって賃貸借契約を外国人観光客と交わしてもなんの効力も発生しないので注意が必要です。

 

約束だけで成立すること

約束だけで成立する契約のことを「諾成契約」と言います。

A「おまえにこの部屋貸してやるよー」

B「じゃ、1万払うよー」

この時点で契約が成立します。

契約が成立するということは、貸す側は部屋を貸す義務が発生し、借りる側はお金を払う義務が発生するということです。

逆にものを引き渡さないと成立しないのが「要物契約」です。

お金の貸し借りは「金銭消費貸借契約」と言って「要物契約」の一つです。

A「1万円貸して―」

B「分かった、貸すよー」

さっきの例と違ってこの時点では契約は成立しません。

B「はい、一万円ね!」

A「ありがとー」

ここでやっと契約成立になります。

ここでAには1万円返す義務が発生します。

「諾成契約」と「要物契約」の違いは契約書を作成する上ですごく大切です。

例えば、部屋を貸してといった人が当日来なかった場合に、約束だけで契約が成立する賃貸借契約ではお金を払う義務が発生していますが、物を引き渡さないと成立しない契約の場合にはお金を払う義務が発生していません。

賃貸借契約書作成の場合には、この基本をしっかりと理解しておかなければなりません。

 

賃貸借契約と借地借家法

特区民泊の賃貸借契約書を作る上で理解しておかなければならないのが「借地借家法」です。

「借地借家法」とは、建物を借りる時に借主が有利になるように作られている法律です。

大家さんと借主の間にはやっぱり力関係からいって大家さんの方が強いです。大家さんがやっぱ貸すのやめたっていうと借りている人は生活基盤である家を失ってしまいますよね。

そこで、きちんと貸し借りが平等にできるように借主側を法律で保護する必要があったんですね。

これが特区民泊の賃貸借契約書を作る上で問題になってきます。

借地借家法の注意点

借地借家法には以下のような規定があります。

  • 自動的に契約が更新される
  • 解約の申し入れから6カ月後に終了
  • 解約に正当な理由が必要

 

自動的に契約が更新される

期間の定めが「ある」建物の貸し借りでは、期間の最終日の1年から6カ月前までに、更新しない旨を相手方に告げないと今までの契約と同じ条件で更新されてしまいます。

 

解約の申し入れから6カ月後に終了

期間の定めが「ない」建物の貸し借りでは、大家さんが解約を申し入れてから6カ月経過した時に契約が終了します。

急にでてけと言われても困りますもんね。

 

解約に正当な事由が必要

建物の貸し借りの賃貸借契約を解約するためには、建物が古くなって取り壊すとか、両親が他に住む場所がなくなったなどの理由が必要になります。

一度建物を貸したら簡単には出て行ってもらえないのが借地借家法のやっかいなところです。

こんな規定があったら旅行者と賃貸借契約なんて結べないじゃないか!

なんて思っている方は安心して下さい。

きちんと借地借家法第25条と第40条で

第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定(土地を借りることの規定)は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。(借地借家法第25条)
この章の規定(建物の貸し借りに関する規定)は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。(借地借家法第40条)

とあるので「一時使用のため」を契約書に明記すれば宿泊利用にも賃貸借契約を使うことができます。

 

賃貸借契約と宿泊契約

宿泊契約とは

外国人旅行者を家に泊めるのになんで部屋の貸し借りをする賃貸借契約を結ぶのか不思議に思いませんか?

その疑問に答えるためにはホテル・旅館で用いられる宿泊契約の解説をするのが分かりやすいと思います。

ホテル・旅館の宿泊契約は部屋の提供、サービスの提供、食事の提供などいくつかの契約が組み合わさっています。

その中でも主たるものは部屋を有料で貸し出すという「賃貸借契約」です。

つまり宿泊契約も部屋の提供というところだけ見れば「賃貸借契約」なんです。

だから特区民泊では外国人に部屋を貸し出すので賃貸借契約書を作ってくださいといっているんですね。

 

特区民泊には定期借家契約を作成しよう

特区民泊では借地借家法の適用があると面倒ですので「定期借家契約書」を作成しましょう。

定期借家契約とは、短い期間を決めてしまって家を貸し借りをする契約です。

特徴として、

  • 契約期間が経過すれば確実に明け渡してもらえる
  • 1年未満の契約でも期間の定めのない賃貸借契約とみなされることがない

ことが挙げられます。

通常の賃貸借契約にしてしまいますと法的には正当な事由がない限り更新されてしまいます。

これは契約書に「更新できない」と書いても効力を生じません。それほど借地借家法の借主の保護は強力なんです。

特区民泊は明らかに短期使用の目的なので更新については心配する必要はないかもしれません。ただし、万が一に備えるのが契約書の役目ですので、ここはきちんとしたものを作りましょう。

 

契約書に必ず入れなければならない規定

特区民泊の賃貸借契約書において必ず入れなければならない規定というのが決まっています。

契約書を作る際には以下の6つの規定を入れるのを忘れないでください。

  1. 7日以内の解約できない旨
  2. 施設滞在者は、日本語又は対応外国語に対応できる者であること。
  3. 日本に住所を有しない外国人は旅券、日本人及び日本に住所を有する外国人の場合は、旅券または運転免許証当の身分証明書の提示を義務付ける条項
  4. 施設の滞在者に対し使用開始時に受けた注意事項を遵守する条項
  5. 対応できる外国語の種類
  6. 各施設で提供する役務

7日以内の解約できない旨

現在特区民泊では最低でも6泊7日以上の宿泊が必要です。途中で解約をできるとなるとこの規定が骨抜きにされてしまうので、契約書への明記が求められています。

政府は特区民泊について最低2泊3日からへと緩和する予定なのでこの部分は3日以内の解約できない旨へと変わるでしょう。

施設滞在者は、日本語又は対応外国語に対応できるものであること

つまり施設が対応している言語に対応できるものしか宿泊させることができないという規定です。

基本的には英語を対応言語にしておけばほとんど大丈夫だと思います。

旅券、免許証での本人確認

外国人にパスポートを提示する旨を義務付ける条項をつけましょう。
日本人の場合はパスポートを持って国内旅行をしていないので免許証でも本人確認ができるようになっています。

使用開始時の注意事項を遵守する条項

施設の滞在者には使用開始時に、

  • 施設に備え付けられた設備の使用方法
  • 廃棄物の処理方法
  • 騒音等により周囲に迷惑をかけないこと
  • 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法

を外国語を用いて説明します。

説明するだけではダメできちんと契約書に説明した事項を遵守させる規定を書きましょう。

対応できる外国語の種類

第○条 対応できる外国語は、日本語、英語、中国語とする。

のように対応できる外国語について契約書で明確にします。またここに書いた言語で契約書を翻訳しましょう。

あまり無理して対応言語を増やすと大変かもしれません。

各施設で提供する役務

ここにはどんなサービスを提供するかを契約書に書いておきましょう。
例えば、

  • 宿泊施設の立地条件・環境
  • 部屋の位置及び広さ
  • 風呂・トイレの設備等客室の内容
  • 食事の提供の有無
  • チェックイン・チェックアウトの時間

などを定めておくと、滞在者から変なクレームが発生した時にもきちんと契約書をもとに説明することができます。

 

消費者庁推薦の契約書へ入れた方がいい事項

特区民泊の認定を受けるために必ず入れなければならない規定とは別に宿泊施設として入れておいた方がいい規定があります。

消費者庁ではホテル・旅館へのクレームが多数上がっており問題視されています。

例えば、「部屋の広さ、美観が思ったほどよくなかった」、「サービス内容が契約時と異なる」、「規定料金以上とられる」などです。

以下に消費者庁からクレームをもとに宿泊施設の契約書の改善案で示されていたものを列挙します。

  • 最終的に支払うべき総額及びその内訳が明確に分かる利用料金規定
  • 防災設備・体制の概要
  • 宿泊予約の内容、拘束力及びその発生時期、本契約の成立時期の明記
  • 宿泊業者の責任
  • 天災、施設の故障等やむを得ない事由で宿泊させることができない場合の規定
  • 宿泊継続不能となった場合の責任
  • 利用規則違反による宿泊継続の拒絶規定
  • 盗難等に対する宿泊業者の責任規定
  • 料金の支払い方法の明示

以上のような改善点が挙げられているので、賃貸借契約書作成の参考にしましょう。

 

定期借家契約締結の注意点

契約書の中身とは直接関係ないのですが、定期借家契約書を作成した場合には注意しなければならない点が2つあります。

一つは、必ず書面で契約を結ぶこと

もう一つは、契約を結ぶ前に「更新がなく、期間の満了により終了する」との書面をあらかじめ交付して説明しなければならないことです。

この2つを忘れてしまうとどんなに完璧な契約書を作成しても、契約自体が無効となってしまいます。

つまり必要な契約書が

  • 定期借家契約の事前説明書
  • 定期借家契約書
  • 定期借家契約の終了通知書

が必要になるということです。

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