京都市長は明確に民泊に対して規制緩和を認めない方針を明らかにしました。京都市では東京オリンピックが開かれる2020年までに新たに6000室が必要と見込まれていますが、こちらに民泊を活用する気はないようです。
京都市独自ルールの策定
今秋の国会に提出予定とされている民泊新法では、旅館・ホテルの建てられない地域でも一定の要件を満たせば特例で開業を認める方針です。
しかし、これには各自治体で条例による制限をかけることが可能であり、京都市では国の法整備を踏まえて独自のルールの構築を目指す予定のようです。
市長の発言からするに現行とほぼ同じ規制で民泊施設には簡易宿所営業許可の取得を求めていく形になるでしょうね。
市長は「マンションやアパートの一室を提供するような形は基本的に認めない」との発言をしていますが、京町家の活用など「京都らしい」民泊は推進する方針で、民泊新法の営業地域の規制緩和については積極的に活用していくようです。
京都のマンションやアパートでは民泊ができないのか?
市長の発言を聞くとマンション、アパートでの民泊運営は不可能のように思われますが、そうではありません。
基本的に経済活動の自由は憲法に規定される基本的人権における自由権の一つです。
条文では以下のように規定されています。
第22条第1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
旅館業が自由に出来ないのは「公共の福祉に反しない限り」という点に当てはまるからです。好き勝手に旅館業を始められると中には不衛生な施設や安全管理に問題のある施設が出てきたりして、一般の人の生命や健康を害す恐れがあるため許可制という規制をかけて公共の福祉を守っているんですね。
このように一般の人の生命や身体を守るための規制を消極目的規制といいます。
消極目的規制の場合には国民の安全を守るため、必要最小限の規制しかできません。市長が自由な裁量でマンションやアパートでの営業は認めないということができるわけではないんです。
法令上の要件を満たしさえすれば許可を必ず出さなければならないのが行政なんですので民泊新法が条例で規制されたとしても旅館業法上の簡易宿所営業の要件を満たせばマンション、アパートで民泊は可能です。
まとめ
京都では以前から民泊に対して厳しい姿勢で臨んできました。今回の市長の発言では民泊新法による宿泊施設の運営は厳しくなりそうです。
反対に立地に関しては緩和していくようなので、京町家での宿泊施設運営についてはやりやすくなりそうですね。
今後も各都市で民泊に対するスタンスが分かれてくると思います。施設運営については各都市ごとのスタンスについても気を遣う必要がありますね。