ヨーロッパなどでは住宅価格の上昇抑制と近隣トラブルの防止から民泊に関して営業日数の規制をかけている都市(アムステルダム、ロンドン、バルセロナ、ベルリン)も出始めています。
同時に、民泊に営業日数の制限を設けず登録のみで営業を行える都市もあります。
それが今回ご紹介するポルトガルのリスボンです。
民泊の営業日数の制限がないことでどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介したいと思います。
観光客の宿泊者が人口の10倍超の525万人
2015年の観光客の宿泊者数ではリスボンの人口の10倍以上の525万人が記録されています。
これは市の協力で民泊促進策を実行し、観光と不動産投資を呼び込みました。観光と不動産ブームのおかげで多くの空きビルが増加する観光客のためのお洒落な宿泊施設に変わっていったそうです。
リスボンの市長はより多くの観光客を受け入れるよう街を整備していく方針です。
リスボンでは財政が厳しく失業率は12%前後で推移している中、こうした観光が景気回復にはたす役割に期待しています。
営業日数の制限のないリスボンではAirbnbの登録物件は2014年に比べて約3倍に増えました。
民泊推進をして観光客がこれだけ増えたということは、宿泊に対するニーズが変わって来ているのでしょう。この流れを軽視して旧態依然とした観光業の都市は競争に勝っていくことができるのでしょうか。
民泊を推進したことによるデメリット
もちろん民泊を推進したことでいい事だけが起こったわけではありません。
近隣の住宅価格の高騰と観光客の出す騒音に対して地元住民から不満の声があがりました。
民泊促進で海外からの投資も活発化し15年の不動産投資額は14年比2倍で過去最高の20億ユーロを記録しました。その結果リスボンの不動産価格は高騰し一部地域で最大25%の上昇しました。
観光客の増加と不動産価格の上昇は地域で暮らす人たちの生活を金銭的に圧迫する可能性もあります。物価の上昇や税金の上昇を招くからです。
市長はリスボンが不動産投資と観光客の増加で得る利益は、不動産価格の上昇と騒音などを大きく上回っていると説明します。しかし、その利益は近隣住民にきちんと還元されているわけではないので、住民からの不満が高まるのも当然でしょう。
一部の人間だけが利益を得るシステムではいつか破たんしてしまいます。政策的にもう少しバランスをとる必要が今後出てくるでしょう。
まとめ
海外の都市では民泊に対する姿勢は様々です。民泊を政策的に促進したリスボンでは、さまざまなメリット・デメリットが浮かび上がってきています。
みんなが納得できる政策というのはなかなか難しいと思いますが、規制をするにせよ、緩和をするにせよ、一度きちんと海外の様々な事例を検証してみる必要がありますね。