国家経済戦略特区内で旅館業法の規定を適用せずに宿泊施設を営業できるのが特区民泊です。
今までは最低宿泊日数の制限が6泊7日と定められており、旅行者のニーズに合わないため特区民泊の宿泊施設はほとんど利用されてきませんでした。
しかし、昨年10月の閣議決定で最低宿泊日数が2泊3日に緩和されることが決定しました。
そして、2017年1月から旅行者が利用しやすくなった特区民泊が始まります。
大阪市と北九州市で始まる2泊3日に緩和された特区民泊について書きたいと思います。
特区民泊が運営可能な地域
2017年1月現在で特区民泊が認められている地域は
- 東京都大田区
- 大阪府(豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、東大阪市、松原市、堺市以外の地域)
- 大阪市
- 北九州市(1月から)
福岡市や新潟市でも特区民泊ができると勘違いされる方が多いですが、現在の所はできません。
国家戦略特区に指定されても自動的に特区民泊が可能になるわけではありません。
国・地方公共団体・民間の三者から組織される国家戦略特別区域会議で区域計画が作成され、条例が整備されることによってはじめて可能になります。
※ 2017年11月15日追記
千葉市の若葉区及び緑区の市街化調整区域及び住居専用地域で実施に向け検討が行われています。
住宅地や都市部以外の地域で認める点に特徴があります。
農業体験や観光資源を生かしたプロモーションが検討されています。
2泊3日からの特区民泊ができるようになるのは大阪市と北九州市のみ
1月から2泊3日からの特区民泊ができるようになるのは
- 大阪市
- 北九州市
の2つだけです。
全国にさきがけて特区民泊をはじめた東京都大田区は6泊7日からの宿泊という規定を維持するようです。
「拝啓。民泊様」という民泊のテレビドラマにも協力していた大田区としては動きが鈍いですね。
また大阪「市」だけで大阪「府」で2泊3日から可能になったわけではないことに注意してください。
※2017年11月15日追記
2018年3月から大田区でも2泊3日の特区民泊の開始が決定しています。
これからの特区民泊の流れとしては2泊3日がスタンダードになるかもしれません。
特区民泊等の制度を活用が進まないと日本はパニック状態になります
2020年東京オリンピックで深刻な宿泊施設不足になってからの対応では大パニックになってしまいます。
各自治体は民泊利用のルール作りを早急に行っていかなければなりません。
既に民泊活用しか解決策がないなかで様子見などを行っている場合ではありません。
民泊の活用を考えて、かつ近隣トラブルをいかに防いでいくかということについて議会や役所には本気で取り組むべきです。
外国人観光客が何件も宿を回っても部屋を取れずに困り果てている状況を東京の一部の地域や鎌倉で現実に私は見ています。
客室稼働率が高い大阪ではもっとひどい状況でしょうね。
2020年の政府の目標では外国人観光客を現在の倍の4000万人に増やすことになっています。
この目標に向けてかなりの急ピッチで制度を整備していかなくてはなりません。
民泊新法や特区民泊は一時期に集中する宿泊需要の対応力という意味では旅館業許可より優れています。
旅館業法上許可を取って民泊をする場合は、設備等を揃えるため完全に営業施設になってしまいますが、特区民泊や新法の場合はすぐに賃貸住宅や一般の住宅への転用も可能であるからです。
オリンピック開催時の一時の爆発的な需要への受け皿として関係自治体は特区民泊の導入を急いだ方がいいですね。
さもなければ現在の違法民泊施設に起因とするトラブルはますます増えていくことになるでしょう。