民泊に関しては次々に新しいビジネスが立ち上がっていますが、まだまだ法律の壁があると言わざるを得ません。
その中で各企業色々工夫を凝らして民泊事業への参入を考えているようです。
今回はエボラブルアジアが提供するキャンピングカーレンタル事業をご紹介したいと思います。
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エボラブルアジアのキャンピングカーレンタル
エボラブルアジアは米国最大手のキャンピングカーレンタル会社の日本法人エルモンテRVジャパンの株式を100%取得し完全子会社化しました。
国内の宿泊施設が不足する状況において、宿泊機能を備えたキャンピングカーでの旅行・宿泊が訪日観光客の新たなニーズを取り込みを狙っています。
宿泊施設を設ける事業形態では旅館業法の許可取得が必要となるため様々な制約を受けることになります。この制約を回避するためにキャンピングカーを利用したレンタカー事業で宿泊場所を提供してこうということです。
エボラブルアジアによると、エルモンテRVは米国だけではなく、顧客の半分が欧州からの旅行者で占められています。もともとの基盤を生かした訪日旅行者のニーズに加えて、エボラブルアジアのもつ訪日旅行事業のネットワークを生かしてアジア圏の需要を取り込んでいく予定とのこと。
キャンピングカーは旅館業許可が不要なのか?
キャンピングカーで旅館業法が回避できるのかという疑問もあると思います。
実はキャンピングカーの設置・利用方法によって旅館業法が適用されるかどうかが決まります。キャンピングカーであるから旅館業法が回避できるわけではないんです。
まず旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。これは厚労省の旅館業法概要のページにも記載されています。
キャンピングカーの場合、この「施設」に当たるのかという点が問題となります。
この点、車両においては本来運行するものであって、その主要な用途が運行に供されている限り、旅館業法の対象外です。
例えば空地にただキャンピングカーを置いて宿泊施設として場合どうなるかということですが、この場合には国土交通省の方針として「人が出入りして継続的に利用するものについてはすべて建築物として扱う為、基礎を使用し地面に定着させよ」(H16.12.6 国住指2174 )となっています。
この場合は建築物として扱われますので旅館業法の適用を受けることになります。
ポイントは随時かつ任意に移動できるかどうかということですね。このあたりは自治体によって細かいポイントがあり判断も分かれるところだと思います。
通常のレンタカーとしてキャンピングカーを貸し出して、旅行者がオートキャンプ場にいって宿泊する形態であるなら旅館業法の適用は受けないということになります。
日本でキャンピングカーが流行らない理由
日本ではキャンピングカーはそれほど普及していません。これには日本の駐車場の問題があります。
基本的に日本では土地が狭いため自由に車を停めることが難しい社会です。通常の道路では8時間以上の駐車は青空駐車となってしまい多額の罰金を支払うことになります。オートキャンプ場では1泊6000円ぐらいかかりますし、コインパーキングの場合高さ制限に引っかかったり車両に対応していないという問題があります。なかなか欧米のように自由にキャンピングカーで旅をする環境は整っていないと思います。
高速のパーキングエリアや道の駅を利用するケースもありますが、これもマナー問題、ごみ問題で周りからあまりいい目で見られていません。
キャンピングカーを利用した旅行・宿泊事業ではこうした問題をクリアしていく必要があるでしょう。
まとめ
民泊事業は各企業旅館業法上の問題でなかなか参入が難しい状況になっています。民泊の規制緩和も議論されていますが、ホテル・旅館業界の抵抗もあり、すんなりと緩和できるわけではないでしょう。
今後はエボラブルアジアのように新しいアイデアで民泊・宿泊事業に参入してくる企業が増えてくると思います。
民泊を一つの産業として有効活用できるように法律、制度の整備が望まれるところです。