政府の規制改革改革推進会議は12月6日に旅館業の規制緩和を求める提言を発表しました。
外国人観光客が増え宿泊施設不足が深刻化しています。
旅館業法の規制の中には
「なんでこんな規定が必要なの?」
と思うようなものが幾つもあります。
こうした規定が撤廃されれば、旅館業に算入しやすくなるだけでなく、民泊施設の運営にもかなり大きな影響を及ぼします。
旅館業の規制緩和について書いてみたいと思います。
Contents
旅館業の規制が緩和されるポイント
旅館業法は1948年に制定されほとんど改正がされてきませんでした。
ですので法律は1948年当時の社会状況を反映したものになっています。
これでは宿泊者のニーズや宿泊施設の多様化した現代では法的な問題がでてきて当然です。
こうした状況下で以下のような旅館業の規定の撤廃が提言されました。
- フロントの受付台の長さ1.8m以上
- 必ず対面での本人確認
- ホテルのトイレは水洗式かつ座便式
- 共同トイレは男女を区分、便器の数は大乗が原則ほぼ同数
- 洗面所にはせっけん、タオルなどをおく設備が望ましい
- ホテルの最低客室数10室以上、旅館5室以上
- 寝具は洋室がベッド、和室が布団
- 最低床面積は洋室が9㎡、和室が7㎡
- 照度の基準(フロントは700~1500ルクス、玄関は300~700ルクス)
この中で民泊に大きく関係してくるのが、ホテル・旅館の最低客室数の撤廃とフロントでの本人確認の規定です。
ホテル・旅館の最低客室数が撤廃されるとAirbnbはやりやすくなる
民泊で旅館業許可の取得が進まない理由の一つは、部屋にトイレの増設を求められてしまうことが挙げられます。
多人数が共用して部屋を使う「簡易宿所営業」として民泊を始める場合には、その階に男女別のトイレを要求されることが多いです。東京都内では一部の区を除いてほとんど男女別のトイレと条例で定められた便器の数が必要になります。
通常の住宅で各階に2個ずつトイレがあるなどまずないので営業許可を取得するために増設しなければならなくなります。
このトイレの増設費用がかなり高く許可取得を断念する方が多いです。
では、1部屋を1組に貸そうとするとそちらは「ホテル営業」、「旅館営業」という営業形態になります。
その場合は客室の規定でホテル10室以上、旅館5室以上となり許可が取れません。
日本では一部屋だけを一組に貸すというスタイルで営業許可を取ることは旅館業法上不可能になっているのです。(実際には許可を取得する方法はありますが、、、)
ですので、この提言でホテル・旅館の営業が一部屋から可能になった場合は、特区民泊や民泊新法なんて目じゃないくらい民泊にとって大きなインパクトがあります。
フロントでの本人確認
旅館業でネックとなるのが人件費の問題です。
フロントにも必ず対面での本人確認が求めらています。
しかし、現在では金融機関でさえインターネットでの本人確認が導入されているのも関わらず、旅館業だけ必ず対面で本人確認をしなければならないというのはおかしな話です。
また、日本人に関しては身分証明書を使って本人確認をしていません。
情報通信技術(ICT)を活用した本人確認の方が安全な状況ですよね。
法の制度趣旨から考えると現代の社会にマッチしていないといえます。
合法的な民泊に関してはフロントでの対面での本人確認をしようとすると複数物件を持つ場合には人か業者を雇わなくてはなりません。
人件費や業者の費用がかかると物件の収益性がかなり悪化するので、営業許可を取得せずポストで鍵を受け渡す民泊施設が多いです。
実際Airbnbの本人確認とゲストのレビューのシステムは、ホテルのフロントでの本人確認よりも優れています。
本人確認が現代社会にマッチしたものになればこの辺も改善されていくでしょう。
まとめ
旅館業の規制緩和の提言どおりになれば、民泊新法や特区民泊よりも大きなインパクトになります。
厚労省はホテルと旅館の区別をなくす旅館業法改正案を来年の通常国会に出す方向で準備を進めており、今回の提言を踏まえて年内に具体的な見直し内容をまとめる予定です。
旅館業法改正案は今後注目ですね。