住宅宿泊事業法で民泊を始める場合、基本的には非常用照明の設置が必要になります。
非常用照明って具体的にどんなものだか分かりますか?
懐中電灯とかではないですよ。
きちんと法令に定められた非常用照明設備を用意しなけれvばいけません。
非常用照明とは何かについて書いてみたいと思います。
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非常用照明器具とは?
住宅宿泊事業法(民泊新法)は、簡単に民泊が始められる制度なんですが設備的に厳しく決められているのが
- 非常用照明
- 消防設備
の2つになります。
新法での民泊を始める場合はこのハードルをクリアする必要があります。
このうち非常用照明とは建築基準法の中で定められている設備のことを指します。
非常用照明について定めているのは以下の建築基準法施行令になります。
第一二六条の五 前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
一 次に定める構造とすること。
イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
ハ 予備電源を設けること。
ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
構造や数値などで具体的に定められています。
まとめると
- 直接照明で火事が起こっても1ルクス以上(蛍光灯やLEDの場合は2ルクス以上)の照度を保てるもの
- 火災時でも明るさを保てるように国が定めた基準をクリアしたもの
- バッテリーなどを搭載していて火災時でもきちんと明かりがつくもの
- 上記以外でも国の認定を受けたもの
が非常用照明となります。
自分で勝手にバッテリー式のライトを部屋につけたところで非常用照明とはならないのでご注意を。
非常照明として認められるものには、一般社団法人日本照明工業会(JLMA)が規定に適合していることを自主的に評定してJIL適合マークというものをつけています。
非常用照明をつける際にはこのJIL適合マークのついた製品を使うのが安全です。
非常用照明をつけなくてもいい場合
民泊新法では、簡単に民泊が始められるよう非常用照明についても免除の規定があります。
国交省から出ている民泊の安全措置の手引き(PDF)のフローチャートに免除の規定が分かりやすく書いてあります。
家主同居型はいろいろな設備が免除される
一番わかりやすいのが
- 宿泊室の床面積の合計が50㎡以下、かつ家主が不在とならない場合
です。
家主同居型の民泊で宿泊室の床面積が50㎡以下の場合はいろいろな設備の設置が免除されます。
非常用照明のほかにも
- 自動火災報知設備
- 防火区画
- 誘導灯の設置
なども免除されます。
つまりほとんど何も設備を準備することなく民泊の届出ができます。
民泊新法では家主同居型の小規模施設に対してはかなり優しい法律となっています。
新法使って民泊を始めるなら家主同居型を強くお勧め致します。
ただし、家主が同居しないのに偽って届出をしてはダメですよ。罰則はかなり厳しいのでご注意ください。
居室でない部分には非常用照明はいらない
クローゼット、トイレ、洗面所、浴室、外気に開放された通路には非常用照明設備の設置は不要です。
基本的に人がいない部屋と避難経路以外には非常用照明はつけなくていいのです。
火災時に人が逃げれればいいわけですから。
個人的には停電時にトイレについてくれてるとありがたいですが。
1階、2階でいわゆる無窓居室でないところにも非常用照明の設置は不要
フローチャートのcの要件は複雑に見えますが、実は建築基準法の規定を参考に作られています。
住宅では以下の採光の規定があります。
建築基準法第28条より
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
住宅では採光の規定が厳しいですから、採光の規定でひっかかるということはほとんどないですね。ただし、地下室がある場合は注意です。
通常この規定にひっかかってしまうのは3階以上の階に宿泊室を置いた場合です。
3階以上の部分には非常用照明を設置しなければならない可能性が出てきます。
他にも、出口までの距離の関係からものすごく大きな家であれば非常用照明設置の必要がでてくるかもしれませんね。
非常用照明の種類
非常用照明にはいろいろな種類があります。
少し前までは、ミニ電球、ハロゲン電球、蛍光灯以外は認められていませんでしたが、2014年頃から徐々に緩和され今では電源内蔵型でないLED照明なども認められるようになりました。
非常用照明の主なタイプとしては
- 埋込型
- 直付型
- 蛍光灯型
などがあります。
埋込型 | 直付型 | 蛍光灯型 |
色々な建物についているので一度は見たことがあるはずです。
民泊向けの非常用照明も発売されている
Panasonicと東芝等から民泊向けに非常用照明も発売されています。
Panasonic NNFB01000
東芝 LEDEM13821MPN-K
どの辺が民泊用なのかというと配電工事が不要でコンセントから電源が取れる点です。あまり家をいじらなくて済むところが民泊向けというわけです。
非常用照明の設置には電気工事士の資格がいるのですがこちらの商品は自分で設置が可能です。
ただ弱点としてかなり上の方にコンセントがないと設置できませんし、部屋の見た目も悪くなります。
業者に頼んで消防設備、誘導等と一緒に非常用照明を設置してもらった方がいいかもしれません。
照明関係は勝手にいじれるわけではない
先ほども書きましたが、非常用照明の設置には基本的に電気工事士の資格が必要となります。
電気工事法という法律で決まっており家のコンセントのネジを開けていじるのは法律違反になってしまいます。
なんでも自分でやってみたいという方は大変すばらしい考え方だと思います。ただ火災発生のリスクや感電の危険があるので電気の配線やコンセントの設置などが必要になる場合は資格をもっている人に頼みましょう。
それでもやりたいという方は資格を取っちゃいましょう。第2種電気工事士の資格があれば自分でもできるようになります。
まとめ
ここまで読んでいただいた方には非常用照明がどんなものだかイメージができたと思います。
住宅宿泊事業法を使って民泊をする場合には、法令の条件をクリアした非常用照明を設置してくださいね。