ニュースで最近よく聞くようになった民泊。
「海外の旅行者を自分の家でも受け入れてみたい!」
「不動産投資として民泊をやってみたい。」
「所有アパートの空室対策として民泊を取り入れたい。」
様々な理由で民泊に興味を持ち始めている方が増えています。
早速民泊を始めてみようという方は少し待ってください。
勝手に民泊を始めてしまうと違法行為として罰せられる可能性があります。
まずは民泊について基礎的なことを学んでから始めてください。
民泊を始めるに当たって何から手を付けていいのかが分からない、そんなあなたにはぜひこの記事を読んで頂きたいと思います。
この記事の内容を理解して頂ければ安全・安心に民泊を始めることができるでしょう。
Contents
民泊が違法行為となってしまう場合
民泊とは一般住宅の空き部屋等を旅行者に貸し出す行為をいいます。
本来、自分が買った家は自由に使うことができるので部屋を人に貸し出すことは問題になりません。
ただ、部屋を旅行者に貸し出してお金をもらうという行為はホテルや旅館の営業行為と似ていますよね。
民泊がある一定の条件を満たし営業行為として見られる場合には、ホテルや旅館と同様に旅館業法という法律が適用されます。
この場合、勝手に民泊をしてしまうと旅館業法違反となり罰せられることになります。
ある一定の条件とは、以下の条件です。
- 旅行者から宿泊料を取ること
- 建物を使用して、寝具を提供すること
- 反復継続的に上記の行為をおこなうこと
- 不特定多数の人を泊めること
これら全てを満たした場合には旅館業法が適用されることになります。
民泊をするには一定の許可を取ってしなければなりません。
逆に一つでも満たさなければ自由に民泊ができます。
例えば
- 無料で宿を提供する
- 建物や常設のテントを建てず、キャンプ場として貸し出す
- 数年に一回お金をもらって旅行者を泊める
- 友達を家に泊めてお金をもらう
こうした行為は全て旅館業法が適用されませんので、自由に行えます。
民泊で気を付けなければならないのは、旅館業法の営業行為の条件を満たしてしまった場合となります。
民泊の3つの制度
通常、民泊を行う場合は営業行為の条件を満たしてしまいます。
この場合は以下の3つの制度のうちのどれかを選んで民泊をすることになります。
- 簡易宿所営業許可を取得した民泊
- 特区民泊
- 民泊新法(住宅宿泊事業法)による民泊
簡易宿所営業による民泊
1の簡易宿所営業とは、ホテル・旅館といった宿泊施設のうち簡易なもので、見知らぬ人同士が一つの部屋を共用して使うような宿泊形態の営業のことをいいます。
具体的には、カプセルホテル、キャンプ場のバンガローなどがあてはまります。
この制度を使って民泊を行うには、土地と建物がホテル・旅館用途として適法な状態で、旅館業法令に定められた設備を整え、申請をして行政の「許可」をもらうことが必要になります。
3つの中ではもっともハードルが高いものになりますが、営業活動に制限がないことが特徴です。
許可の取得方法については以下の記事の詳細を記述しています。
参考記事: 今後Airbnbに絶対必要!「簡易宿所」許可の取り方
特区民泊
2の特区民泊とは、国が定めた国家戦略経済特区内で特別に認められた民泊です。
この制度を使って民泊を行うには、特区民泊を認めている自治体の条例に適合させ、申請をして「認定」を受ける必要があります。
1の簡易宿所営業の許可に比べればハードルは低いですが、一日単位の営業を行うことができません。
地域によって、2泊3日以上~6泊7日以上といった最低旅行者を泊めなければいけない日数が決まっていることが特徴です。
現在、特区民泊を行うことができる又は導入が予定されている地域は以下の地域です。
- 東京都大田区
- 大阪府(豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、東大阪市、松原市、堺市以外の地域)
- 大阪市
- 北九州市
- 千葉県千葉市の一部地域
特区民泊の始め方については以下の記事をご覧ください。
参考記事: 特区民泊(外国人滞在施設経営事業)を始めるための9つのステップ
民泊新法による民泊
3の民泊新法による民泊は2018年6月15日から始まる新しい制度です。
こちらは特区民泊よりもさらにハードルが低く、一般住宅で一番始めやすい民泊です。
ただし、年間の営業日数の制限が180日となっていて事業用には向かない民泊の形態です。
現時点(2017年11月16日現在)で手続の詳細は決まっていませんが、図面等を揃えて行政へ「届出」を行うことで審査がなく民泊を始められる制度です。
3つの制度の概要を比較した表が以下のものです。
営業日数制限 | 宿泊日数制限 | 地域の制限 | 用途地域の制限 | |
簡易宿所営業許可による民泊 | なし | なし | なし | あり |
特区民泊 | なし | 2泊3日、3泊4日又は6泊7日以上 | 指定された国家戦略特区内 | あり |
民泊新法による民泊 | 180日まで | なし | なし | なし |
民泊を始める方は、この中から自分のやりたい民泊のスタイルにあったものを選択してください。
民泊が出来ない土地
営業許可を取って制限なく民泊行いたい場合には土地に注意が必要です。
どうしても自由に民泊ができない場所というのが存在します。
都市部では無秩序に建物が建つのをさけるため土地に制限が設定されています。
これを「用途地域」といいます。
用途地域は12種類存在しますが注意しなければならないのが
- 住居専用地域
- 工業専用地域
の土地です。
これらの土地では許可を取って制限なく民泊をすることができません。
ですので許可を取っての民泊ができるのは以下の用途地域に限られます。
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
どこでも自由に民泊ができるわけではないという知識は持っておきましょう。
用途地域の調べ方は以下の記事を参考にしてください。
参考記事: 【民泊物件探し】知らないと大変なことに!用途地域の調べ方。
マンションで民泊は可能か?
自宅マンションや自己所有のマンションの一室で民泊をやってみたいという方もいるでしょう。
結論からいうと分譲マンションで民泊を行うことは管理規約の問題で難しいです。
マンションは建物の区分所有に関する等に関する法律が適用されます。ほとんどの分譲マンションは国土交通省が策定したマンション標準管理規約をもとにしていますので、専ら住居として使うことになっています。
この場合は、営業行為を行ったとして裁判で民泊の営業停止をさせられたケースもあります。
また、民泊新法の制定に伴って民泊の可否を盛り込んだ標準管理規約も作成されています。
この規約において住宅宿泊事業法による民泊が可能である旨盛り込まれた規約が採用された場合については、民泊ができることになります。
まれに管理規約のないマンションがありますがそうした場合には、民泊をできる可能性があります。
逆に民泊可能マンションといったものも販売されているケースもあります。
そういった物件では自分が住みながら民泊を行うことができます。
マンションで民泊ができるかどうかは管理規約を確認する必要があるということになります。
民泊を始めるのにかかる費用
民泊を正しく始めるためには一定の費用がかかります。
特に必要な設備関係を揃えなくてはいけないので上記3つのどの制度を使うにしてもリフォームは必須になります。
費用の関係でいうと
簡易宿所営業の許可 ≧ 特区民泊 > 民泊新法
となります。
簡易宿所営業の許可の場合は40万円~数千万円かかります。
私の事務所で許可取得を行った中で最も安く済んだケースでは50万円ほどになります。
これには消防設備の設置、水回りのリフォーム、建物自体の改造などが必要になる場合があるからです。
さすがにリフォーム費用数千万円の見積もりが出た場合は断念することになりました。
東京などは水回りのリフォームをしなければいけないことが多く、100万以上かかるのが普通ですね。
ただし、初期費用がかかる代わりに民泊物件の収益性が大幅にアップしますのですぐに回収できることが多いです。
特区民泊の場合でも最低30万円以上はかかります。
特区民泊では自動火災報知設備という業務用の消防設備を新たに入れなければならないからです。
ただし、長屋などで宿泊事業に使う面積が小さい場合には消防設備の設置が免除されるケースがあります。
こうした事例は特殊事例ですので最低でも数十万円以上の出費は必要になります。
民泊新法の場合、照明に対するリフォーム費用が必要になります。
まだ地域の条例が確定していないので詳細な費用まではまだ分かりませんが、現時点で非常用照明の設置が義務付けられています。
これは停電時にも照明がついている状態にし、宿泊客が避難経路を確保することを目的として規定です。
いずれにしても現状の物件をそのまま民泊に使うことはできないのでリフォーム費用がかかることを知っておく必要があります。
民泊は儲かるのか?
民泊を始める際に気になるのはどのくらい儲かるのかということではないでしょうか。
私の感覚としては
かなり儲かっているところもあれば、赤字のところもある。
というのが現状ではないかと思います。
私の許可取得に関わった施設のオーナーの話を聞くと利回り30%を超えている所もありますし、賃貸物件1件で賃料・経費を抜いて一月に40~50万円ほど収入をあげている所もあります。
かと思えば、東京などの無許可の民泊が横行している地域では供給過多に陥っており全く儲かっていない物件も多いようです。
数年前の民泊の物件数の少なかった時代は始めれば誰でも儲かりました。
しかし、今は民泊も競争が激化しています。
儲けるためにはただ民泊を始めて物件をサイトに登録するだけではダメですね。
逆にきちんと手順を踏んだ物件は収益を上げ続けています。
基本的には訪日外国人観光客は増え続けて、日本人の民泊利用者は増えていますから民泊の需要自体は右肩上がりです。この需要を自分の施設にどのように取り込んでいくかという点が大事になってきます。
民泊を始める際にはこうした現状を踏まえてよく考えてください。
まとめ
民泊を始めるには、色々と準備が必要だということが分かって頂けたと思います。
何も知らずに勝手に始めてしまうと違法行為になってしまう危険があります。
きちんとした基礎知識を学んでから始めてください。
民泊を始めたいがどうしたらいいか分からないという方のご相談も承っていますので
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きちんとした知識をもって安心・安全な民泊運営を始めましょう。