旅館業許可が不要で簡単に民泊営業が始められる新法が2018年度に施行が予定されています。
しかし、法律で認められたからと言ってマンションの部屋で自由に民泊営業ができるようになるわけではありません。
区分所有法に基づく管理規約というものがそれぞれのマンションで定められており、部屋の使い方に制限がかけられています。
マンションで民泊をする場合どのような点に注意しなければならないかについて書いてみたいと思います。
Contents
一般的な管理規約のあるマンションでは民泊は難しい
マンションの管理規約は一般的に国交省がさだめる「マンション標準管理規約」に沿って作成されています。
この管理規約の中では
「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」
との文言が書かれています。
この場合、営業許可を取得して民泊をすることは基本的にはNGです。
ただし、管理規約はあくまでマンション内でのルールなので、管理組合や住民の許可をもらって営業することは可能です。
この規約があるにも関わらず無断で民泊を営業した場合には、営業停止や損害賠償などを管理組合側から提訴される可能性があります。
過去に裁判があり、民泊運営者側が負けています。
参考記事: 無断民泊対策に営業差止めの「仮処分」!大阪地裁の決定で新たな対策
国交省では民泊新法向けに新たな「マンション標準管理規約」のひな型を作成
民泊新法では、あくまでも扱いは住宅ですので管理規約に違反するかはっきりしないところがあります。
そこで国交省では新たなマンション標準管理規約を作成して民泊新法への対応をはかるよう不動産会社などのマンション管理組合団体、業界団体に促していく方針です。
具体的には、マンションの管理規約部分に「新法による民泊ができる/ できない」などの民泊可否の明記をもとめることになっています。
逆にこのマンション管理規約の変更を怠った場合には、民泊営業停止に関する裁判等で管理組合側が不利になる可能性があるので、きちんと総会を開いて管理組合の改正を行っておくことが大切です。
マンション管理規約の変更については、原則区分所有者の4分の3以上の出席と議決権の4分の3以上の賛成が必要になります。
この議決権は所有者にしかありませんので、賃貸マンションのオーナーの意向で新法による民泊可のマンションとすることもあり得ます。
管理規約違反の民泊の場合には営業停止や損害賠償を求めることが可能
管理規約で民泊を不可とした場合には、管理組合側から営業停止の処分を求めて裁判所へ訴えることが出来ます。
住居専用規定の管理規約のあるマンションで、税理士事務所としての使用の可否が争われた過去の裁判例(平成23年11月24日東京高裁)においても、
住居専用規定は,本件マンションの2階以上において,住居としての環境を確保するための規定であり,2階以上の専有部分を税理士事務所として営業のために使用することは共同の利益に反するものと認められ
る。
との判断がされており、営業行為は区分所有法第57条の「区分所有者の共同の利益に反する行為」と認定されています。
このような判例がある以上、民泊使用不可の管理規約を定めたマンションでは、ほとんどの場合営業停止を求めることができるといえるでしょう。
まとめ
新法の施行後も民泊をする場合にはマンションの管理規約には十分な注意が必要となります。
新法を活用してマンションで民泊を始めてみようという方は必ず管理規約をチェックするようにしましょう。