旅館業の許可を取らずに違法に民泊を行っている施設に対して、政府が年度内に国会に提出する民泊新法案では厳しく取り締まる方針が決定されました。
新法案では「懲役6カ月以下または罰金3万円以下」としている旅館業法の罰金部分を引き上げます。
また、旅館業法適用を受けない民泊には営業日数の上限が定められますが、この営業日数を超える民泊施設を取り締まるため、仲介サイトに対して「抜き打ち監査」で物件の稼働状況の報告を求める形をとることになりました。
物件の稼働状況の管理はザル法になる可能性あり
現在、民泊物件の運営はAirbnb以外にも「agoda」や「自在客」のような他の海外サイトに登録して行われることも多いです。
厚生労働省と観光庁の有識者会議では民泊の営業日数の上限に対して実行性のある取り締まりを考えているところです。
新法施行後に「登録制」となる民泊仲介サイトの事業者に対し物件の稼働状況について報告を求められるように規定するとのことですが、複数サイト間でデータを共有し、営業日数を管理することは容易ではありません。
営業日数を管理するとなると登録制のサイト全てに対して報告を求め、膨大なデータから同一物件の判定をしなければなりません。「抜き打ち監査」のレベルでは営業日数の上限を管理するということはほぼ不可能でしょう。
上限近くになったら名前を変えて別サイトに登録された場合などどう対応するのでしょうか。
営業日数の上限を設けることはできますが、実効性の確保という面で難しい問題があるかもしれません。
「抜き打ち監査」で管理しようとするならば、いくらでも抜け道がある「ザル法」となってしまうでしょう。
違法民泊の罰金はいくらになるのか?
以前から言われていた旅館業法違反の罰則の引き上げですが、現在の3万円からどの程度引き上げられるのでしょうか。
他の許認可の規定を見てみると
- 旅行業の無許可営業 100万以下の罰金
- 古物商の無許可営業 100万以下の罰金
- 飲食店の無許可営業 100万円以下の罰金
- 風俗営業の無許可営業 200万以下の罰金
風俗営業に関しては大変厳しい法律ですので200万円の罰金となっていますが、おおむね無許可営業に関しては100万円以下の罰金が多いように思います。
今回の罰金の引き上げについても「100万以下の罰金」となるのではないでしょうか。
まとめ
現在、東京都大田区、大阪府の一部地域を除いて、旅館業の許可を取らず旅行客を有料で継続的に泊めるのは違法行為です。グレーゾーンとの認識の方もいらっしゃるようですが、それは誤りです。
既に摘発も始まっていますし、今後罰則も強化されるのでホスト側も運営代行サービス業者も法令に則した形での運営を行っていないと大変なことになりますので注意してください。