民泊と法律

100㎡以下とはどの部分?用途変更での床面積の考え方。

buid

民泊施設やAirbnbを合法的行うために旅館業許可の取得を考えている方は多いと思います。この旅館業許可で問題となるのが用途変更です。

※用途変更について詳しく知りたい方はwikipediaに詳しく書いてありますので参考に読んでみて下さい。

 

一般住宅やビルの一室などで旅館業許可を取得するさいには、その建物の用途が旅館・ホテルとなります。旅館・ホテルは建築基準法上「特殊建築物」というものにあたり、100㎡を超える床面積の施設の用途を「特殊建築物」に変更する時に用途変更で建築確認申請が必要となります。

この用途変更には費用がかなりかかる場合があるので敬遠されます。物件を探す段階で床面積を100㎡以下という条件で探す方が多いでしょう。

しかし、この床面積100㎡の計算には勘違いも多く、100㎡以下だと思ったのに実は超えていたなどということもあります。

私は建築の専門家ではないので面積の算出の細かい規定までは解説することができませんが、勘違いしやすい基本的なところをご紹介したいと思います。基本的に面積が心配な場合は必ず建築士さんのチェックを受けるようにしてください。

 

Contents

1戸建てにおける100㎡

床面積とは建物の各階の床面積の合計で壁あるいは柱の中心を基準に算出します。階段については各階で床面積に含まれ、ロフト、玄関ポーチ、バルコニーの先端から2mまでの部分については床面積に算入しません。

床面積を調べるには法務局にいって建物の「登記事項証明書」を取得します。そこに床面積が記載されています。

toukibo

物件のチラシなどにも床面積は記載されているのでそちらを参考にしてもいいでしょう。

 

一戸建ての一部を民泊施設として使う場合

1階2階ともに床面積が80㎡の2階建ての建物があるとします。
1階を民泊施設、2階を住居として使用する場合、1階の民泊施設は80㎡なので用途変更の確認申請は不要となるでしょうか?

これは自治体によって取り扱いが違うようです。

①1階の宿泊部分だけを面積としてカウント
②1階2階の面積を合算してカウント

の2パターンがあります。

①の場合は、旅館・ホテルとしての用途として使う部分だけを床面積として扱います。建築基準法の条文の規定に忠実な解釈です。

②の場合は、2階の住居も1階の運営に携わっている以上ホテル・旅館としての営業施設とする考え方です。

一戸建ての一部を使って民泊運営を考えている方は管轄の役所がどちらの考え方によって用途変更の確認申請が要否が変わってくるので確認が必要です。

 

マンション・ビルにおける100㎡

マンション・ビルでは床面積の計算が少し複雑になります。原則は一戸建ての場合と変わりませんがマンションやビルの場合には共用部分というものがあります。

マンションは区分所有建物で賃貸ビルとは若干違う概念なのですが、ここではわかりやすく同じ種類の建物として扱います。

共用部分とは簡単にいうとみんなが使う建物の施設です。例えばエレベーター、共用階段、共用廊下などが挙げられます。

こうした部分も面積に含まれる可能性があるので注意が必要です。

例えばゴミ置き場が共通の場合、民泊施設の面積とゴミ置き場を使用する他の部屋や店舗の面積との割合で加算します。階段部分についても同じ考え方が通常のようです。

 

あらかじめ特殊建築物がある場合の面積の考え方

建物内に飲食店や他の民泊施設があった場合、自分の民泊施設が100㎡以下であったも建物全体として特殊建築物としての用途の床面積が100㎡を超える場合があります。

こうした場合には用途変更の確認申請は必要でしょうか?

この場合には自分の民泊施設が100㎡以下であれば用途変更の確認申請は不要です。

上記の例で用途変更の手続きを求めるケースもあるようですが、国土交通省住宅局建築指導課長より各都道府県建設行政主務部長に以下のような通知が出されています。

 

1.用途変更の手続きについて

用途変更については、建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号。以下「法」という。)第 87 条第 1 項に規定するとおり、「建築物の用途を変更して第 6 条第 1 項第 1 号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)」に建築確認の手続きを行うこととされているが、「建築物の用途を変更して第 6 条第 1 項第 1 号の特殊建築物のいずれかとする場合」の運用解釈が特定行政庁ごとに異なり、手続きの要否の判断が異なる状況にある。用途変更の手続きについて、特定行政庁の運用を調査した結果、特に法第 6 条第 1 項第1 号に規定する「100 ㎡を超えるもの」の運用解釈が特定行政庁ごとで異なっている結果を得た。

具体的には、過去の用途変更と現在の用途変更がいずれも 100 ㎡以下の特殊建築物への用途変更であるが、合計すると 100 ㎡を超える場合に、合計して 100㎡を超えた時点で用途変更を行った者に用途変更の手続きを求める例や、既に特殊建築物である建築物について、その一部を特殊建築物以外の用途に変更した場合に手続きを求めている例などが見られる。このため、用途変更の手続きの実効性や公平性を鑑み、用途変更の手続きの要否については、以下を参考にされたい。

なお、既存の特殊建築物において、特殊建築物以外の用途に用途変更する場合については、当該用途変更部分の用途変更の手続きを要しないことを念のため申し添える。

・用途変更後の用途が、法別表第一(い)欄に掲げる用途(以下「特殊建築物の用途」という。)であり、かつ、その部分の床面積が 100 ㎡を超える場合は、用途変更の手続きを要する。

・区分所有建築物等で、異なる区分所有者等が 100 ㎡以下の特殊建築物の用途への用途変更を別々に行う場合に、用途変更する部分の合計が 100 ㎡を超えた時点での用途変更の手続きは、特定行政庁が地域の実情に応じ必要と判断した場合に限り、その手続きを要する。

なお、用途変更の手続きを要しない場合であっても、建築基準関係規定が適用されることはいうまでもないが、同一の者が 100 ㎡以下の用途変更を繰り返し行う場合については、意図的に用途変更の手続きを回避しようとすることがありえるので、特に留意すること。
(国住指第4718号)

上記の通知から国側では用途変更の床面積の算定にはその都度変更する部分の面積のみを使用する考え方を取っています。

この通知を知っていると用途変更の確認申請が不要になり費用を節約できることもあるので覚えておいて損はないと思います。

 

まとめ

床面積の算定は専門的な知識が必要で上記のような基本的な考え方だけではなかなか正しい床面積を算出することはできません。100㎡付近の物件は一度建築士さんか市役所の建築課等に相談に行ってください。

シェアボタン






-民泊と法律