研修施設、セミナーハウスとは、学校教育法に基づく「学校以外の教育的な機能をもつ施設全般」を指します。
研修施設、セミナーハウスには、日帰り型だけでなく、宿泊型もあります。
料金をとって宿泊させる営業ですので旅館業法の許可が必要かに思えますが、全ての施設が旅館業法の対象となるわけではありません。
建物の用途によって、旅館業法や建築基準法の取り扱いが変わってきます。
研修施設やセミナーハウスといった施設の取り扱いについて解説したいと思います。
Contents
研修施設、セミナーハウスとは?
研修施設やセミナーハウスとは、一般に企業や団体などの不特定多数の人を対象に、一定のプログラムを提供する施設です。
集団に対して啓発・教育・実習・交流などを目的とした研修を行います。
企業・団体が行う研修では、新入社員研修、管理職研修、セミナー、懇親会などがあります。
最近では、運営会社が既存施設を長期にわたり借り上げ、施設を改修して一般の企業・団体向けに一定期間貸し出すビジネスを展開しているケースもあります。
研修所、セミナーハウスは主たる用途によって旅館業法の適用が除外される
研修施設やセミナーハウスでは、お金を取って人を泊めても旅館業法が適用されない場合があります。
ポイントは
- 主たる用途が何か
- 宿泊者が特定か不特定か
という点です。
主たる用途で建築基準法上の用途も変わる
建築基準法上、研修施設やセミナーハウスは、施設名として条文上該当する項目がありません。
ですので、実際に取り扱いでは、主たる用途が何かによって全体の用途が決定されます。
主たる用途 | 建築物の用途 |
研修部門 | 成人対象の場合は「事務所」
児童・生徒対象の場合は「学校」 不特定多数を対象とした講義室の場合は「集会場」 |
宿泊部門 | 特定の利用者の場合は「寄宿舎」
不特定の利用者の場合は「ホテル・旅館」 |
研修所やセミナーハウスの場合、施設が社員や会員のみが利用できるような場合には、通常は旅館業法上の施設とは扱われません。
もちろん、行政の判断が絡んでくるので必ず旅館業法が適用されないわけではないのですが。
上記の表のように主たる用途によって建築物としての性質も変わるので、旅館・ホテルが建てられない場所でも、人が宿泊できる施設として使用が可能になる場合があります。
建築確認の「基準総則」でも、旅館業法の適用を受けない場合の研修施設としての保養所は、近隣の居住環境を害するおそれがないものについては実態に応じて「共同住宅」、「寄宿舎」いずれかに該当するかを判断するとしています。
まとめ
研修所、セミナーハウスの場合は、不特定多数のものを料金をとって宿泊させる場合には、旅館業法条の許可が必要になります。
逆に特定の人向けであって、主たる用途が宿泊でない場合には、旅館業法が適用されない場合もあります。
研修所、セミナーハウスは各行政庁と協議をしながら用途を決定して進めていかなくてはいけないので、営業施設としては少し複雑なものになりますね。