民泊施設を開設する際には様々な法律、政省令、条例等が関わってきます。
民泊に関して重要な法令をピックアップしてまとめてみました。旅館業許可や特区民泊を行う際の参考にしてください。
Contents
民泊関連法令
民泊施設全般
民泊を始める際に必ずチェックしなければならないのが旅館業法です。特区民泊以外で継続的に宿泊料を取って運営するためには旅館業の許可を取得する必要があります。
また旅館業法施行規則には申請に必要な書類の内容が、旅館業法施行令には民泊施設が備えるべき構造・設備基準が記載されています。
大事なのは施行令の方で中には、トイレの数、洗面台の規定、入浴設備の規定、客室面積の規定など許可申請に直接かかわってくるところが多いです。施行令は必ずチェックしておきましょう。
・旅館業法
特区民泊
特区民泊とは国家戦略特別区域内の指定された地域で条件を満たすことによって、旅館業法の適用除外となる民泊です。
特区民泊の場合は、旅館業法とは違う法令のもと運用されます。まずは国家戦略特別区域に関する法律を見て、民泊を始める地域で特区民泊が可能であるかをチェックします。
※平成28年11月2日追記平成28年10月31日に大阪市での特区民泊が認められたため、特区民泊を行なえる地域は
- 東京都大田区
- 大阪府の保健所設置市以外の地域
- 大阪市
となっています。
平成29年からは北九州市でも特区民泊での運営が可能となります。
特区民泊での設備・構造要件や認定の要件は都道府県の条例や、保健所設置している市区町村の条例で定められています。各自治体ごとに要件が色々と変わってくるので条例には一度目を通しておきましょう。
民泊物件選び
用途地域
民泊の物件選びで最も重要なのが用途地域です。
用途地域とは都市計画法上の市街化区域で定められる土地の使い方を定めたもので、ホテル・旅館の建てられない土地の物件を選んでしまうと旅館業の許可を取ることが出来ません。
用途地域の調べ方については、以下の記事が参考になると思います。
参考記事:【民泊物件探し】知らないと大変なことに!用途地域の調べ方。
ホテル・旅館の建てらない地域について、例外の規定など詳細に調べたい場合は建築基準法を参照してください。
建築確認申請・用途変更
民泊施設を建築する場合、増築する場合、100㎡を超える物件で用途変更をする場合には、建築基準法で定められた確認申請をしなければなりません。
この手続きでは建物を新築する際と同様の図面や構造計算書、設備図等多くの図面が求められます。かなり大変な作業で費用もかかるので、どんな場合に用途変更が必要となるのか詳細に確認しておいて損はないです。
確認申請の詳しいことについては建築基準法6条、87条に詳しく書いてあるので参照してください。
専門的なことがよくわからないという人は、不動産会社ではなく、「建築士」に相談しましょう。
民泊施設の構造・設備関係
設備一般
民泊物件の設計に関しては、基本的な部分は旅館業法施行令に、詳細な部分については各自治体の条例に定められています。
施設に備えるべきものが備わっていないと旅館業の許可を取ることができません。細かい所までよく確認しましょう。
条例にも旅館業法施行条例というものと旅館業法施行細則があるので両方見ておいてください。
また、条例や政令とは別に保健所が定める要綱といったものもあります。
こちらは旅館業許可においてあくまで任意の協力を求める規定になります。条例に根拠のある規定なのか、要綱に根拠がある規定なのかによって交渉の仕方が変わりますので、きちんと区別して覚えておくことが重要です。
施設内の人の動線の規定やフロント設置基準など自治体ごとのローカルルールが存在するので、リフォーム工事等をする前に必ず保健所や保健福祉センターの担当の所へ図面を持って相談に行ってください。
・各自治体の条例
消防設備
旅館業の許可では、旅館業法だけでなく、消防法の基準に適合していることも求められています。
消防設備基準は一般の人にはあまりなじみがないでしょう。消防設備の規定が消防法、消防法施行規則、消防法施行令の中に書いてあります。なかなか全てを把握するのは大変ですが、消防署にいけば何を設置すればいいのかを教えてもらえます。
主に民泊施設に関わってくるのは消火器、自動火災報知設備、誘導灯、避難器具、防炎物品についてです。
消防について必要な設備は以下の記事を参考にしてください。
参考記事:旅館業の許可に必要!「消防法令適合通知書」の取り方
参考記事:民泊の消防用設備は設計を工夫すれば新たに設置不要。
消防に関しては以下の法令の部分を軽く読んでおくぐらいでいいでしょう。
・各自治体の条例
その他
共同浴室を使用して日帰り入浴させる場合
民泊物件の入浴施設のみを料金をとって宿泊者以外に開放する場合には、基本的には公衆浴場法の許可は不要です。旅館業法が適用される入浴設備については公衆浴場法の適用が除外されるからです。
ただし、施設から独立したものとみられる場合には公衆浴場法の許可が必要となります。
公衆浴場法には施設の距離制限の規定などがありますので、近くに銭湯が有る場合には入浴だけの営業ということはできなくなります。
また、お風呂のお湯に温泉を使う場合は温泉法によって水質のチェックが義務付けられますので、温泉を売りにした民泊施設を作ろうという方は温泉法の規定もあわせてチェックしてください。
・公衆浴場法施行条例
井戸、湧き水利用・排水関係
今ではあまり見られなくなりましたが、飲料用の水に水道水以外を使おうと思っているならば水道法に定められた基準を満たすことが求められます。
また民泊施設は旅館業法上の施設なので水質汚濁防止法の適用を受けます。こちらは必ず適用を受けるものなので民泊施設を始める方は確認しておいて下さい。
・各自治体の条例
浄化槽の設置
一般の住宅ではあまり気にする必要のない法律ですが、トイレの浄化槽に関しても法律があります。
野外にトイレを設置して浄化槽を置くようなケースの場合には浄化槽法の基準を満たしているか確認して下さい。
・浄化槽法
食事の提供
民泊施設で食事の提供を行う場合には、飲食店営業許可や喫茶店営業等の許可が必要となります。
飲食店営業許可については以下の記事を参考にしてください。
参考記事;【飲食店営業許可の取り方】民泊施設で食事提供。許可は必要?
レトルト食品を電子レンジで加熱する行為、ポテトチップをさらに盛り付ける行為、ペットボトルのジュースをグラスに注ぐ行為、紙コップの自販機を設置する行為なども調理とみなされるので、飲食店営業許可が必要になります。
食事の提供をする場合には、旅館業の許可と合わせて飲食店営業許可を一緒に申請してしまいましょう。
・各自治体の食品衛生法施行条例
景観関係
都市の景観を守るために定められているのが景観法です。
京都や鎌倉など古都で民泊施設を始める場合には景観法や各自治体の定める条例に注意しましょう。
また大阪には建物の色に規制がある場合があります。こうした規定にも注意してください。
・景観法
・各自治体の条例
まとめ
以上書いてきたように一つ民泊を施設をつくるだけでも様々な法律が関わってきます。
一から全部調べるのはかなり大変な作業ですので専門化に任せてしまった方が楽だと思います。
もし何か法令関係でわからないことがあれば
にてご相談受け付けておりますのでご活用ください。