旅館業法の適用を受けずに住宅の空き部屋を旅行者に貸し出すことができる民泊新法(住宅宿泊事業法(仮))が3月に国会に提出されます。
その法案の条文案全文を入手したとネットにあがっていました。
参考記事: 渦中の「民泊新法」案、全文入手(ITpro)
これが本物であるという仮定のもとに、法案どおりに制定されて場合どのような制度となるのか、主なポイントについて解説いたします。
Contents
民泊新法のホストに関する制度
ホスト(住宅宿泊営業者)に関するものとしては、届出の方式、宿泊施設の設備、運営方法、条例での規制、建築基準法との兼ね合いなどが規定されています。
主なポイントとしては
- 営業日数の上限は180日
- 事業開始に際して都道府県(保健所設置市にはその首長)に対して届出
- 届出には施設の図面添付
- 床面積に応じた宿泊者数の制限、管理者が管理できる居室の数の制限
- 施設には、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災の際の宿泊者の安全の確保
- 外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する情報提供
- 宿泊者名簿の備え付け
- 宿泊者に対して生活環境悪化防止のための外国語による説明
が求められる予定です。
届出をした施設には、行政に立ち入り調査権が付与されます。
また都道府県の条例での過度の規制を防ぐため
「住宅宿泊事業を条例で制限できるのは「騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認められる区域」
のみで認められ、
「観光旅客の宿泊に対する需要への適確な対応に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める基準の範囲内において」
期間を定めて制限することができるようになっています。
住宅宿泊事業に使う建物は、建築基準法上、「住宅」、「長屋」、「共同住宅」、「寄宿舎」となっているものについてはそのままの扱いになります。
旅館業の許可のように建物が「旅館・ホテル」として扱われるわけではありません。
民泊代行業者の制度について
現在の民泊代行業を新法の制度が適用される施設について行う場合は、「住宅宿泊管理業」というくくりになります。
住宅宿泊管理業を行うためには、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。
制度の概要としては、
- 登録に際して登録免許税9万円が必要
- 登録の更新は5年ごとに行う
- 管理業者は一般の閲覧に供される
- 業者の名義貸し、再委託は禁止
- 業務の帳簿の備え付け
が挙げられます。
民泊仲介業者についての制度
Airbnbのような仲介サイトを運営する企業については、観光庁への登録が必要になります。
制度の概要としては、
- 登録は5年ごとに更新
- 登録に際して登録免許税が9万円かかる
- 登録仲介業者は一般の閲覧に供される
- 名義貸しは禁止
- 宿泊契約に関し、住宅宿泊仲介業約款を定め、観光庁長官への届出が必要(ただし、観光庁が公示した標準住宅宿泊仲介業約款を行使、それと同一のものを使用する場合は届出が不要)
となります。
民泊新法に違反した場合の罰則
民泊新法は旅館業法が適用される施設より、簡単に始められますが罰則は厳しいものになっています。
主な罰則には以下のようなものがあります。
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 不正な手段で登録をしたり、登録をしないで代行業や仲介サイトを運営したもの
- 他人に代行業務や仲介サイトを営ませて場合
6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
- ホストが虚偽の届出をして住宅宿泊事業を営んだ場合
50万円以下の罰金
- ホストが管理業務の委託が必要なのに、委託しなかった場合
30万円以下の罰金
- 宿泊帳簿を備え付けなかったもの、保管を怠った場合
他にもいろいろと罰則規定が定められています。
民泊新法の議論はこれから
法案は上記のようになっています。
これから国会で審議されて今年度中には施行される予定です。
今まで民泊運営ができなかった地域でも解禁される可能性がありますので、今後の法案の審議が注目されるところですね。